静岡県で“次世代型太陽電池”の普及に向けた新たな一歩
2025年、静岡県が新たなエネルギーの可能性として注目を集めている「ペロブスカイト太陽電池」の導入実証に乗り出しました。これは県内では初めての試みであり、建設業界でも注目すべきニュースのひとつです。
この実証実験には、地元企業の鈴与商事をはじめ、積水化学工業とそのグループ会社である積水ソーラーフィルムが協力。静岡市清水区にある清水港の県有施設「興津13号上屋」の屋上に、14枚のフィルム型ペロブスカイト太陽電池が設置されました。今後1年間かけて、塩害や風圧といった厳しい環境の中での耐久性や発電性能の検証が行われます。
ペロブスカイト太陽電池ってどんなもの?
ペロブスカイト太陽電池は、これまでのシリコン系太陽電池とは大きく異なる特長を持った“次世代型太陽電池”として注目されています。
- 軽くて柔らかい
従来の太陽光パネルは硬くて重たく、屋根の強度や設置場所に制限がありましたが、ペロブスカイト太陽電池はフィルム状で非常に軽量かつ柔軟。そのため、ビルの壁面や、耐荷重が小さい屋根など、これまで設置が難しかった場所にも対応可能です。 - 製造コストが抑えられる
製造工程がシンプルで省エネ、量産にも向いており、従来の太陽電池に比べてコスト削減が見込めます。
実証実験で得られる成果と今後の展望
静岡県が今回の実証で目指すのは、耐久性や発電能力などのデータを収集・分析し、製品の信頼性を確保すること。そしてその結果をもとに、技術開発の加速や、民間企業の参入促進につなげていくことです。
また、静岡県ではこの取り組みを機に、「創エネ・蓄エネ技術開発推進協議会」の中にペロブスカイト太陽電池など次世代型太陽電池に特化した部会を、2025年6月までに設置する予定です。この部会では、民間企業や大学・研究機関と連携しながら、情報共有や技術支援、モデル導入の支援などを行っていきます。
建設業界にとってのインパクトとは?
建設業界にとっても、ペロブスカイト太陽電池の普及は大きな転機となり得ます。
特に、以下のようなケースでの活用が期待されます。
- 古い建物のリノベーション時に、屋根の荷重制限を気にせず太陽光発電を導入可能
- 外壁を活用した“壁面発電”という新しい発電スタイルの実現
- 災害時の非常用電源確保としての活用
これまで太陽光パネルの設置が難しかった現場でも、新たな可能性が広がることでしょう。
まとめ|「建設 × 再生可能エネルギー」の未来が静岡から始まる
静岡県による今回の取り組みは、「建設」と「再生可能エネルギー」が融合する未来に向けた、大きな一歩といえます。
ペロブスカイト太陽電池の可能性が実証されれば、今後は全国の建設現場でも導入が進み、環境負荷の少ない社会の実現に寄与していくことが期待されます。