【建設ニュース】災害時の映像伝送を劇的に効率化!北陸整備局がネットワークカメラを改良し、文部科学大臣表彰を受賞

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2025年4月17日、国土交通省北陸地方整備局(新潟市中央区)で、文部科学大臣表彰(創意工夫功労者部門)の伝達式が行われました。今回の受賞対象となったのは「災害対策用ネットワークカメラの改良」に関する技術で、開発者の川谷勝俊氏(当時:北陸技術事務所 防災・技術課 専門官)が受賞者として表彰されました。

この改良技術が注目されている理由は、従来2時間かかっていたネットワークカメラの設置作業をわずか10〜20分に短縮できた点にあります。能登半島地震や奥能登豪雨などの災害現場でも実際に使用され、現場の様子をすばやく伝えることに大きく貢献しました。

背景:足場の悪い災害現場での課題

災害時に活躍するネットワークカメラは、現場の状況確認や情報収集に不可欠なツールですが、設置には大きな課題がありました。従来型のネットワークカメラは、単管パイプで組み立てた架台に設置する方式で、以下のような問題があったのです。

  • 単管パイプの運搬に2トントラックが必要
  • 現地での組み立てに7人がかりで2時間もかかる
  • 足場の悪い災害現場では作業が非常に困難

このような現場の声を受けて、改良型ネットワークカメラの開発がスタートしました。

改良ポイント:軽量化・コンパクト化・省力化を実現

川谷氏らが開発した改良型ネットワークカメラは、構成機器をすべてパッケージ化し、軽量で移動しやすい形にまとめた点が特長です。

具体的には、次の2タイプが用意されています。

  • 台車型:地面を転がして運べるため、車両からの荷下ろしや設置がスムーズ。
  • 背負子(しょいこ)型:人が背負って運べる仕様で、山間部など車両が入れない場所に最適。

いずれもソーラーパネルを電源として使用し、電源確保が難しい災害現場でも安心。しかも、1500ccクラスのライトバンに積載できるコンパクトサイズのため、緊急対応に適しています。

設置作業の時間も大幅に短縮されました。

  • 単管型:7人で約2時間
  • 台車型:2人で約10分
  • 背負子型:3人で約20分

このように、作業人数・作業時間・移動のしやすさのすべてが改善され、災害現場での実用性が大幅に向上しました。

表彰式でのコメントと今後の期待

表彰式では北陸地方整備局の高松諭局長が「今回の受賞は、北陸地方整備局にとって2年ぶり。他の職員にとっても大きな励みになる」と述べ、川谷氏の功績を称えました。

また、川谷氏本人は「この技術は、私一人で開発したものではありません。実際に現場で設置作業をしてくれた多くの職員や作業員の協力の賜物」と語り、現場とチームワークの重要性を強調しました。


今回のような改良は、建設業界において「いかに効率的に災害対応を進めるか」という課題に対し、大きなヒントを与えてくれます。最近の建設業界の技術革新を象徴するニュースとして、今後も注目が集まりそうです。

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