2024年度のアスファルト合材の製造量が前年度よりも減少し、4年連続で減少傾向にあることが、日本アスファルト合材協会(日合協)の調査結果(速報値)で明らかになりました。
日合協に加盟する企業が全国に持つ836の工場で、2024年度に製造されたアスファルト合材の量は、合計で約3,360万トン。これは前年度と比べて約2.6%の減少です。さらに、日合協に加盟していない企業を含めた全体の見込み製造量は3,540万トンとなり、統計開始以来、最も少ない水準となる見通しです。
コスト上昇が工事量を圧迫
減少の背景には、道路工事の予算が横ばいである一方、資材価格の高騰や人件費の上昇が続いており、実質的な工事量が減っているという現状があります。たとえ予算が同じでも、工事にかかるコストが上がれば、施工できる範囲が狭くなるのは当然です。
アスファルト合材の製造量は1992年度の約8,083万トンをピークに年々減少しており、今ではその半分以下にまで落ち込んでいます。
製造内容や地域別の傾向
合材の使い道を見てみると、新しく道路を整備するための「新規材」は約822万トンで前年比0.9%減、既存の道路を再利用する「再生材」は2,537万トンで前年比3.1%の減少となりました。再生材が占める割合は全体の約75.5%で、こちらも前年より0.4ポイント減少しています。
地域別に見ると、能登半島地震の復興工事が進む北陸地方や、2025年の大阪・関西万博に向けて工事が活発化している近畿地方など、10地区中4地区では製造量が増加しました。
稼働率は全国的に低下、沖縄は最も低い水準に
全国の合材工場の平均稼働率は32.8%と、前年度から0.4ポイント下がりました。中でも稼働率が高かったのは関東(43.6%)と中部(36.4%)の2地区。一方、最も稼働率が低かったのは沖縄県で、わずか19.1%にとどまっています。
また、都道府県別では滋賀県(前年比41.6%増)や石川県(同19.9%増)などが大きく伸びた一方、前年度に製造量が多かった山形県では24.9%減と大きく落ち込んでいます。
安全な道路維持には「一般道路の修繕」も必要
合材の需要が減少している一方で、道路インフラの老朽化は全国で進んでいます。日合協は、橋梁やトンネルなどの大規模構造物だけでなく、日常的に利用される一般道路の修繕にも目を向ける必要があると警鐘を鳴らしています。
特に2024年に埼玉県八潮市で発生した道路の陥没事故のようなケースは、老朽化を放置すれば全国どこでも起こり得る問題です。