兵庫県尼崎市では、老朽化が進んだ総合文化センターの耐震化に向け、大型プロジェクトが始動します。市は、設計から施工までを一括で発注するDB方式(デザインビルド方式)により、施工事業者を選定するための一般競争入札を、2025年10月ごろに公告する予定です。
対象となる総合文化センター(所在地:尼崎市昭和通2-7-16)は、音楽ホールなどを備えた尼崎市の重要な文化発信拠点です。開館から約50年が経過し、建物の耐震性に課題があることが指摘されていました。
この施設は、公益財団法人尼崎市振興財団が所有していましたが、2015年度に実施した耐震診断で、文化棟とホール棟の双方に耐震性不足が判明。その後、財団単独では改修費用の負担が困難となり、尼崎市が施設を引き取り、公共施設として再整備を進めることになりました。
今回の耐震化工事では、以下のような具体的な改修が行われる予定です。
◆ 計画のポイント
- 文化棟(SRC造・地下1階/地上10階建て)については、6階から10階部分および屋上塔屋を減築し、低層部に多目的室などの機能を移転します。
- 現在延べ9,260平方メートルある文化棟の面積は、改修後、約3,532平方メートルに縮小されます。
- ホール棟(SRC造・地下2階/地上6階建て、延べ11,584平方メートル)は、耐震補強工事が中心となります。
- 文化棟とホール棟は1~3階で通路により接続されており、建物間の動線も確保されます。
なお、設計段階では、基本設計を山下設計が、発注支援業務(入札資料作成など)を安井建築設計事務所が担当しています。発注に向けた準備が現在進行中です。
入札から完成に至るまでのスケジュールは次の通りとされています。
◆ 今後のスケジュール
- 2025年10月ごろ:一般競争入札を公告
- 2026年5月ごろ:落札者と仮契約
- 2026年9月ごろ:本契約締結
- 2026年10月~2030年10月:設計・施工期間
- 2031年2月ごろ:新しい総合文化センターの供用開始予定
このプロジェクトでは、老朽化した施設を安全かつ使いやすい形にリニューアルするだけでなく、地域文化の拠点としての役割を強化する狙いもあります。今後の動向に注目が集まっています。