2025年4月8日、日本建設業連合会(日建連)は、今後の日本のインフラ整備を左右する重要な提案を行いました。日建連の宮本洋一会長と副会長の押味至一氏、蓮輪賢治氏の3名が、公明党の西田実仁幹事長を訪問し、「国土強靱化実施中期計画」における公共事業の予算確保についての要望書を提出しました。
政府は現在、国土強靱化を推進するための中期計画を策定中で、今年6月には正式な発表が予定されています。現段階での素案では、「今後5年間で20兆円強」という規模が示されているものの、日建連側は「25兆円程度」の予算規模を確保すべきだと訴えました。
背景には、物価上昇と老朽化インフラの課題
日建連がこのような要望を出した背景には、建設業界が直面している複数の課題があります。近年、資材価格の高騰や人件費の上昇が続いており、従来の予算では実際に行える工事の量が減少しています。たとえば、同じ道路補修工事を行うにも、数年前に比べて1.2〜1.5倍の費用がかかるケースも珍しくありません。
このような現状を踏まえ、日建連は「建設業界には施工余力がある」としたうえで、「適切な予算がなければ、本当に必要なインフラ整備が進まない」と危機感を示しました。
地震・事故・インフラ老朽化…国民の不安は拡大
西田幹事長もこの要望に対し、理解を示しました。政府素案でも「物価高などを反映して規模を見直す可能性がある」とされており、「25兆円の要望にできるだけ添えるよう努力したい」と前向きな姿勢を見せています。
さらに西田幹事長は、最近の国内事情として以下の事例を挙げ、インフラ対策の必要性を強調しました。
- 能登半島地震による大規模被害
- 埼玉県八潮市の道路陥没事故
- 南海トラフ地震の最新の被害想定
これらの出来事を通じて、国民の間で「日本のインフラは大丈夫なのか?」という不安が高まっているのは明白です。老朽化が進む道路、橋梁、トンネル、上下水道など、私たちの生活を支えるインフラの再整備は喫緊の課題です。
今後の注目ポイント
国土強靱化実施中期計画が最終的にどのような規模で策定されるのか、またその中で建設業界にどのような役割が求められるのかは、今後の注目点です。建設業界にとっては大きなビジネスチャンスであると同時に、日本の安全・安心な暮らしを支える重大な使命でもあります。
今後もこうした建設ニュースを追いかけながら、国や自治体がどのようにインフラ対策を講じていくのか、注視していくことが重要です。