成田空港で大規模な滑走路工事がスタートへ|2028年度末の完成目指す【建設ニュース】

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成田空港の機能強化に向けて、成田国際空港株式会社が2025年5月から滑走路の整備工事に本格的に着手します。今回のプロジェクトでは、既存のB滑走路の延伸工事と、新たに建設されるC滑走路の新設工事という2つの大規模なインフラ整備が同時に進められます。

この取り組みは、近年の航空需要の増加に対応するため、成田空港の発着枠を年間30万回から50万回に拡大するという「更なる機能強化」計画の一環です。


延伸と新設、2本の滑走路で発着容量を大幅アップ

現在、成田空港にはA滑走路(4000メートル)とB滑走路(2500メートル)の2本があります。今回の工事では、このうちのB滑走路を500メートル延ばし、3000メートルへと拡張。より大型の航空機や長距離便に対応可能な仕様へと強化されます。

さらに、新設されるC滑走路は全長3500メートルとなり、将来的には国際線の更なる拡充にも対応できる規模です。このC滑走路は成田空港で3本目の滑走路となり、運航効率の大幅な向上が期待されています。


用地の確保は順調、工事は地盤改良や造成からスタート

成田国際空港株式会社によると、滑走路工事に必要な用地の83%がすでに確保済みです。必要な土地の内訳は以下の通りです。

  • 民有地:743ヘクタール
  • 公用地:115ヘクタール
  • 同社保有地:241ヘクタール
  • 合計:1099ヘクタール

今後は2025年度末までに残りの用地確保を進め、2028年度末の滑走路供用開始を目指しています。

工事のスケジュールとしては、B滑走路の延伸工事は造成工事から開始され、C滑走路の新設はまず地盤改良工事からスタートします。これは空港用地としての安定性を確保するために重要な工程です。


主要な工事を手がける建設企業一覧【2024年時点】

2024年3月時点で一部工事はすでに契約済みとなっており、施工を担当する企業も発表されています。いずれも日本を代表するゼネコンが名を連ねています。

  • B滑走路延伸部造成・舗装工事
     → 大成建設・日本国土開発 共同企業体(JV)
  • C滑走路北側トンネル整備工事
     → 大林組・青木あすなろ建設 JV
  • C滑走路南側造成の設計技術協力
     → 大林組・熊谷組・鴻池組・飛島建設・青木あすなろ建設 JV

また、2024年9月に公告された「C滑走路北側造成工事」の一般競争入札(総合評価方式、WTO対象)については、落札者は公表されていませんが、3月に契約が結ばれています。


国との連携や地元自治体の協力も鍵に

田村明比古社長は、国土交通省の中野洋昌大臣に対して事業の進捗を報告。国交相からは、

  • 予定通りの工事完了に向けたスピードアップ
  • 航空局との密な連携体制
  • 地元自治体との協力体制の構築

といった点が強く求められたといいます。田村社長も「気を引き締め、決意を新たにして全力で取り組む」とコメントしており、今後の進捗にも注目が集まります。


今後の展望と建設業界への影響

成田空港の滑走路整備工事は、単なるインフラ整備にとどまらず、日本の空の玄関口のさらなる国際競争力強化にもつながる重要なプロジェクトです。また、建設業界にとっても長期にわたる大規模プロジェクトとなるため、今後の雇用や地域経済への波及効果も期待されています。

建設 最近」や「建設 ニュース」に関心のある方にとっては、まさに注目の話題といえるでしょう。2028年度末の完成に向け、今後も成田空港の動向から目が離せません。

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