最新技術と持続可能な未来を見据えた冷暖房・空調業界の進展
ドイツ・フランクフルトで開催された「ISH(アイエスエイチ)」は、冷暖房や空調設備に特化した世界最大級の国際見本市です。今年も多くの企業が集まり、最新の技術や環境に配慮した製品が発表されました。2025年のこの展示会では、54カ国から2183社以上が出展し、特に注目されたのは持続可能な技術や再生可能エネルギーを活用した製品でした。
ISHのテーマ「持続可能な未来へのソリューション」は、現代の課題に直面している冷暖房・空調業界にとって重要なメッセージです。参加者の中には、再生可能エネルギーや環境に優しい素材を使用した製品が多く見られ、これからの住宅設備業界がどのように進化していくかを感じさせました。
日本企業も積極的に参加、注目を浴びた製品たち
日本からはTOTOが大規模なブースを出展し、その製品や技術が大きな話題となりました。約1500平方メートルの展示スペースでは、最新の衛生陶器や水洗金具が並び、訪れた多くの業界関係者の関心を引きました。特に、欧州のインテリア文化に合わせたデザイン性の高い製品が目を引きました。
TOTOのブースでは、ウォシュレット(温水洗浄便座)の取り付け体験コーナーも設けられ、参加者はその簡単さを実感。設置作業が簡単であることを証明することで、リフォーム市場へのさらなる浸透を目指しています。展示会における出展は、製品を紹介するだけでなく、企業のブランドイメージを強化する場でもあります。
日本企業の海外市場開拓のチャンス
ISHは単なる展示の場ではなく、海外市場を開拓するための絶好の機会でもあります。出展した日本企業からは、海外市場への積極的な進出が見込まれているとの声が多く上がっています。
例えば、オーエヌ工業(岡山県津山市)は、配管用ステンレス鋼の「ナイスジョイント」を展示し、施工効率の高さをアピール。難しいねじ切り作業を省略できることで、誰でも一定の品質を保ちながら施工が可能です。この技術は日本国内外で高く評価され、今後の事業成長に大きく貢献することが期待されています。
また、ユーキャン(東京都八王子市)は、冷蔵室からクリーンルームまで対応可能な超音波加湿器を展示し、欧州市場での需要拡大を目指しています。食品業界ではフードロス対策や鮮度管理のニーズが高く、潜在的な市場が広がっていると分析しています。
日本製品の技術力が欧州市場で注目される
日本GT(東京都目黒区)は、自社のバイメタルサーモスタットを展示し、熱関連の家電製品や自動車、通信機器などの広範な分野での利用を提案しています。展示会はその規模の大きさだけでなく、実際の売上に結びつく貴重な場でもあり、多くの企業にとって海外市場での拡大に向けた第一歩となっています。
さらに、因幡電機産業は初めての出展となる「スリムダクトMD」を展示。ドイツでは室内配線をラバーで覆うのが一般的ですが、美観を重視した化粧カバーとして新たな選択肢を提供しました。この製品は、欧州市場でのニーズがまだ未開拓であるため、業界に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。
まとめと次回への期待
ISHは最新技術やトレンドを発信するだけでなく、業界の発展を牽引する場でもあります。来場者の約96%が「展示に満足した」と回答しており、次回の展示会に向けた期待も高まっています。次回のISHは2027年に開催され、効率化と持続可能性を兼ね備えた新しい製品がどのように進化するのか、ますます注目が集まります。