地質調査の重要性を再認識—全地連が発注促進に向けて要望活動を強化

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近年、建設業界では様々な不確実性が事業費の増大を引き起こしており、その大きな要因として「地質・土質条件」が挙げられています。そんな中、全国地質調査業協会連合会(全地連)は、地質調査業務の発注を促進するために活動を強化しています。その一環として、同連会は官公庁へ要望活動を行い、地質調査の重要性を訴えるとともに、具体的な調査データを元に発注促進を働きかけています。

地質調査業務の現状とは?

全地連の調査によると、2009年から2023年までの発注された工事や業務の契約額を分析した結果、建設コンサルタント業務や他の業種は順調に契約額が増加しているのに対して、地質調査業務は横ばい状態にあることがわかりました。

「技術者単価の上昇で、1件あたりの価格は上がっているものの、調査業務の総量は変わらず、そのため件数が減少している」というのが、全地連担当者の見解です。

地質調査の重要性

また、国土交通省が行った公共事業の評価手法に関する研究でも、事業費増加の不確実性の原因として、地質や土質の条件が上位に挙げられました。これにより、地質調査がいかに重要かが再認識されています。

全地連は、地質調査を的確に実施することで、工事中に発生する予期しないリスクを未然に防ぐことができ、結果として「トータルコスト縮減」につながると強調しています。さらに、「地質調査費が減少している現状は、公共事業におけるコスト削減の目的に反している」と警鐘を鳴らしています。

発注促進を目指した活動

全地連は、これらの調査結果や主張をまとめた冊子を全国の各地区協会に配布しました。冊子の内容は、地方整備局や地方自治体との意見交換や要望活動において活用されています。関東地区協会では、自治体担当者から「このような状況を知らなかった」「地質調査の発注の在り方を考え直すべきだ」といった反響が寄せられています。

地質調査業務の発注が今後の建設業界に与える影響

地質調査がしっかり行われることによって、事業費の予測がより正確になり、予期しない追加コストや工期の延長といった問題を未然に防ぐことができます。その結果、建設業界全体の効率が向上し、より健全な発注活動が促進されることが期待されています。

全地連は、地質調査業務の重要性を広め、積極的な発注を促すための活動を引き続き進めていく予定です。このような取り組みが建設業界全体の質の向上につながり、長期的にはコスト削減やプロジェクトの成功率を高めることに貢献するでしょう。

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