【東京都・板橋区】豪雨対策で下水道整備を強化|浸水被害を防ぐ新たな取り組みとは?

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東京都は、近年頻発する集中豪雨による浸水被害を防ぐため、下水道施設の整備を加速させています。2025年度には、板橋区の西台地区および徳丸地区で新たな下水道管の建設が始まる予定です。特にこのエリアは、2024年7月の大雨で床上浸水の被害が発生しており、地域住民からは早期の対策が強く求められていました。

浸水の被害が深刻化する東京都

東京都では、内水氾濫と呼ばれる、雨水が排水しきれずに道路や住宅地にあふれ出す現象が増えています。これにより、住宅の浸水や交通の麻痺といった深刻な被害が起きています。背景には、都市化によって地面がアスファルトやコンクリートで覆われ、雨水が地中に染み込みにくくなっていることがあります。

そこで東京都下水道局では、局地的な大雨にも対応できるようにと、1時間あたり75ミリの豪雨に耐えうる排水インフラの整備を進めています。特に、くぼ地など水がたまりやすい67のエリアを「重点地区」として指定し、優先的に対策を進めているのです。

板橋区では雨水をためる下水道管を新設へ

今回整備が始まる板橋区西台・徳丸エリアでは、雨水を効率よく流すための新たな下水道管を設置予定です。施設の具体的な規模や設計は今後決定される見込みですが、地域住民の安全を守る大きな一歩になると期待されています。

足立区では大規模ポンプ所が稼働予定

また、同じ2025年度には、足立区千住地区で「千住関屋ポンプ所」が新たに稼働します。このポンプ所は地下およそ50メートルに位置し、大量の雨水を地上にくみ上げて隅田川に放流する仕組みです。全てのポンプを同時に稼働させれば、長さ50メートル×幅25メートル×深さ3メートルのプール1杯分の水を、わずか約2分で排水できるという高性能ぶりです。

この施設の稼働によって、隅田川幹線から流れてくる大量の雨水も迅速に処理できるようになり、浸水リスクの軽減が見込まれています。

その他のエリアでも雨水対策が進行中

さらに、2025年度には台東区の「上野・浅草駅」周辺で、雨水をためるための新たな下水道管が完成する予定です。また、目黒区八雲と世田谷区深沢にまたがるエリアでは、「呑川増強幹線」が暫定的に稼働を開始。既存の幹線で処理しきれない雨水を一時的にこの増強幹線にためることで、早期の効果が期待されています。全体の完成時期は未定ですが、地域住民の安全を守るため、一部でも早く機能させるという柔軟な対応が取られています。

すでに28地区で整備完了、今後も加速

東京都が重点対策地区として挙げた67エリアのうち、2023年度までに28地区で整備が完了しています。さらに20地区ではすでに工事が始まっており、残る19地区では現在設計が進められています。年々激しさを増す気象に対応するため、都は今後もスピード感を持って下水道施設の整備を進めていく方針です。

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