建設業界でも急速に進むDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れの中、注目を集めているのがAIの活用です。2025年、新たに登場したのが、東京都文京区に本社を構える「燈(あかり)」が開発した建設業界特化型AIエージェントです。
このAIエージェントは、燈が自社開発した大規模言語モデル(LLM)をベースに構築されており、同社が提供する建設向けチャットサービス「光(Hikari)」に新たな機能として実装されました。
建設現場の「困った」をAIが解決!
従来、建設現場では日報作成や施工計画書の作成、安全管理書類の整理など、多くの事務作業が現場監督や施工管理者の負担となっていました。これらの業務は、資料の確認や法令調査、過去データの参照などが必要で、時間と手間がかかるのが現実です。
しかし、燈が開発したAIエージェントを使えば、こうした作業が一つの指示だけで完結するようになります。たとえば、施工計画書を作成したい場合、AIが自動で必要な仕様書を探し、過去の資料と照らし合わせ、関連する法令もチェックした上で、完成形に近い文書を作成。さらにその内容を評価・修正することも可能です。
企業ごとのカスタマイズで業務にフィット
このAIエージェントの特徴は、単なる汎用AIではなく、建設業の業務フローに特化していることです。さらに、企業ごとに独自のワークフローや書類テンプレート、承認プロセスに対応してカスタマイズが可能。既存の社内システムともAPI連携できるため、導入後すぐに実務に活かせます。
建築・土木に関する専門用語も高精度で理解できるよう設計されており、図面や画像データの解析にも対応しているのが大きな強みです。
実際の活用イメージは?
たとえば…
- 日報の自動作成:口頭での報告内容や作業内容をAIに伝えるだけで日報が完成
- 設計図面の読み取り:紙の図面をスキャンすれば、図面内容をテキスト化し、作業指示や安全管理資料に活用
- 技術提案の下書き生成:過去の事例や新技術の情報を参照して提案書の骨組みを自動作成
など、実務に即した使い方が想定されています。
1万人分の働きをAIが担う時代へ
燈の代表・野呂侑希CEOは、「2025年はAIエージェント元年になる」と語ります。
「私たちが理想とするのは、1万体のAIエージェントが建設業の現場に導入される未来。それはつまり、企業が1万人分の人材を確保したのと同じこと。AIを通じて人手不足を解消し、熟練者の技術を次世代に伝える仕組みにしたい」と意気込みを見せています。
今後はさらなる機能の拡張と他業種への展開も視野に入れており、「建設×AI」の領域は、今まさに大きな転換期を迎えています。