新社長インタビュー|青木あすなろ建設・望月尚幸氏が語る「提案型営業」で挑む新時代の建設戦略

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2024年4月1日、青木あすなろ建設株式会社の新社長に望月尚幸(もちづき・なおゆき)氏が就任しました。望月氏は、長年にわたり大手ゼネコン「清水建設」の現場で実績を積み、その後は外資系コンサルティング会社「PwCコンサルティング」で建設業界の課題解決に取り組んできたという異色の経歴を持っています。

こうした多様な経験を武器に、今後は提案型営業による差別化、成長市場への参入、そして人材戦略の再構築を軸に経営改革を進めていくと語っています。


提案型営業で「他社にできないこと」を形に

望月新社長は、「これからの建設会社は“提案力”が重要」と話します。従来のようにコンペで価格を競うスタイルだけではなく、クライアントに新しい価値を提案できる企業でありたいという考えです。

たとえば、データセンター(DC)や物流施設など、急成長している分野において、青木あすなろ建設ならではの提案を行うことで他社との差別化を図るとのこと。「この会社に頼みたい」と思われる独自性の構築を目指しています。


「建設=再開発」からの脱却。次はリモデル・再エネ・災害復興

現在の建設業界では、建設費の高騰や資材・人件費の上昇が課題となっています。そうした中で望月氏は、「再開発だけが建設ではない」とし、社会的ニーズに応える分野へのシフトを強調。

具体的には、以下のような事業を強化していく考えです。

  • インフラの復旧工事
  • 耐震補強
  • 再生可能エネルギー関連工事(例:風力発電施設)
  • 災害復興事業
  • コンバージョン(用途変更)や全館リニューアルなどのリモデル事業

これらを強化することで、将来的には建築部門の売上の25%をリモデル事業が占めるようにしていく目標を掲げています。


グループ連携と最先端技術の活用

青木あすなろ建設は「高松コンストラクショングループ(TCG)」の一員です。現在は高松建設と連携して共同受注を行っており、グループの営業力を活かした相乗効果が出ています。

さらに、2025年に開催される大阪・関西万博では、次世代水中ブルドーザー(水中施工ロボット)の技術展示を予定。これは水中工事やダムの浚渫(しゅんせつ)など、専門性の高い施工分野での活用が期待されています。


スマートBPOで業務効率化。施工管理者の「本来の仕事」を取り戻す

働き方改革の一環として、2025年度からは「スマートBPO(外部委託)」を開始します。これは、施工管理者が本来集中すべき“施工計画や現場指揮”に集中できるようにするための取り組みです。

たとえば、

  • 写真管理
  • ITツールの導入・活用
  • 書類作成の支援

などを、外部の専門業者と連携してBPO化。さらに、社内では内勤業務を集約する「シェアードサービスセンター(SSC)」も設け、業務分担を明確にしていきます。


人材育成と評価制度を見直し、「個」を活かす組織へ

青木あすなろ建設では、オールラウンダーではなく“スペシャリスト型”の育成方針を掲げています。例えば、施工計画に特化したプロ、品質管理に特化したプロ、といった形で、個人の適性を見極め、キャリアを伸ばしていくとのこと。

また、海外技術者の採用も進めており、グローバル視点での技術力強化も視野に入れています。

加えて、2026年度からは人事制度・評価制度の刷新を行い、社員のモチベーションアップとキャリア形成支援を両立していく方針です。


今後の目標「営業利益5%以上を確保する強い会社へ」

最後に、今後3年間で営業利益を5%以上に安定して引き上げることを明言。業界の波に流されず、選ばれる建設会社としての地位を築くことで、持続可能な収益構造をつくっていく考えです。


望月尚幸氏プロフィール

  • 1987年 日本大学理工学部卒業
  • 清水建設入社後、現場経験を積む
  • PwCコンサルティングでシニアマネージャーとして建設業界の課題解決に従事
  • 日本国土開発で副社長執行役員
  • 2024年1月 青木あすなろ建設に顧問として就任
  • 2024年4月 副社長執行役員
  • 2024年6月 代表取締役に就任

趣味は茶道。座右の銘は「利他の心」。神奈川県出身、61歳。

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