徳島県はこのほど、「藍場浜公園西エリアにおける新ホール早期整備プラン」を公表しました。このプロジェクトは、徳島市の中心部に位置する藍場浜公園の西側エリアを活用し、新たな文化拠点を整備するというもので、地域の賑わい創出と文化芸術の発展を目的とした大型公共施設計画です。
最大で延べ12,000㎡規模、大ホールやスタジオを整備予定
新ホールは、延床面積として約11,000~12,000平方メートルの規模を見込み、収容人数1,500人規模の大ホールに加え、多目的に使用できるスタジオなどを整備する予定です。
この規模感は、県内最大級となる既存の「あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)」と並ぶ大規模な施設となり、演劇、音楽イベント、講演会、地域イベントなど、多岐にわたる利用が想定されています。
総工事費は154億円を想定、設計・施工一括方式を導入へ
事業にかかる工事費は約154億円(2024年4月時点の単価をもとに算出)。設計・施工一括発注(いわゆるDB方式:Design-Build)を採用し、効率的かつスピーディな整備を目指します。
設計費は約7億5,000万円、設計意図の伝達や工事監理にかかる費用は約3億3,000万円、備品費は本体工事費の5%程度を見込んでいます。
整備スケジュールは5年を想定
基本設計と実施設計には約1年半、本体工事には約2年10カ月を充て、事業者の選定着手から約5年での完成を見込んでいます。
たとえば、2025年度に事業者の選定を開始した場合、開業は2030年度頃を目指すことになります。完成後の運営においては、「指定管理者制度」を採用する方向で検討が進められており、隣接するあわぎんホールと連携した、効率的な運営体制の構築が視野に入れられています。
建設地は旧市民文化センター跡地から変更、活用促進へ
当初は旧市民文化センターの跡地が候補地とされていましたが、より利便性や整備効果を高めるため、場所を藍場浜公園西エリアに変更。具体的には、徳島市藍場町2丁目の4番ほかが対象で、敷地面積は約6,600平方メートルとなっています。
また、公園の東側エリアには「Park-PFI(公募設置管理制度)」の導入が計画されており、カフェやレストランといった民間施設の設置も検討されています。これにより、公園全体を文化・憩い・飲食などが融合する複合エリアとして整備する構想です。
県・市連携で基本協定を締結、関連予算も計上
徳島県と徳島市は、2025年4月2日に新たな基本協定を締結。今後の連携を強化し、計画を着実に推進する体制を整えています。
また、県は、設計・施工を担う事業者の選定支援などを目的とした業務委託費として、約3億1,100万円の関連事業費を2024年度予算に計上しています。プランの策定支援は、都市計画や空間デザインに強みをもつ「空間創造研究所」が担当しました。
徳島県の文化インフラ整備が加速中
今回の新ホール整備計画は、単なる公共施設の建設にとどまらず、地域全体の魅力を高め、まちづくりの一環としても大きな意義を持っています。
「最近の建設ニュース」や「地域活性化に関わる建設プロジェクト」に関心のある方にとっても、注目すべき内容です。今後の進展にも目が離せません。