長野原町の特別養護老人ホーム「からまつ荘」で大規模改修工事へ|2026年春の完成を目指す計画とは?

群馬 建設ニュース

長野原町にある特別養護老人ホーム「からまつ荘」にて、大規模な改修工事が予定されています。施設の運営を行う社会福祉法人にしあがつま福祉会(長野原町、冨澤重男理事長)は、建物の長寿命化を目的に、2026年4月の完成を目指して工事の準備を進めています。

■ 老朽化への対応と利用者の安心・安全確保

からまつ荘は1993年に建てられた鉄筋コンクリート造の平屋建て施設で、建築面積は約4450㎡、敷地面積は1万4000㎡以上の広さを誇ります。建物は「特別養護老人ホーム棟」と「デイサービス棟」に分かれており、地域の高齢者福祉を支える重要な施設です。

30年以上が経過した今、施設のあちこちで老朽化が目立つようになっています。たとえば、浴室ではタイルの欠損が見つかり、廊下の床シートが剥がれるなど、利用者の安全性や快適性に影響を及ぼす状態となっていました。また、天井の仕上げ材が剥がれたり、壁にひび割れが発生する箇所も確認されています。

こうした状況を受けて、施設全体の調査と保全計画の策定が実施され、今回の改修プロジェクトが本格的に始動することになりました。建物調査および保全計画の立案は、建築保全や長寿命化に関するノウハウを持つ「リデザインマネジメント研究所」(東京都渋谷区)が担当しました。

改修内容は多岐にわたり、機能性・快適性を大幅向上

今回の大規模改修工事では、施設の機能性や快適性を向上させるための様々な工事が計画されています。主な改修項目は以下の通りです:

  • 屋根防水の再施工(FRP防水):雨漏り防止と断熱性の向上を図る。
  • 床の全面張り替え:廊下・居室・事務所など、利用頻度の高い箇所の床材を一新。
  • 浴室改修・リフト浴槽の導入:タイルの張り替えや排水側溝の整備と共に、安全で快適な入浴が可能なリフトタイプの浴槽に更新。
  • デイサービス棟の増築と浴室整備:新たに設ける浴室でも、同様の床タイル張り替えと特殊浴槽(リフト式)を導入。
  • 居室の利便性向上:新たな引戸の設置や腰壁(汚れ防止や衝突対策)の追加を実施。
  • 廊下の安全性向上:手すりを全面的に交換し、利用者が安心して歩ける環境を整備。
  • トイレ・浴室の壁改修:タイルの張り替えにより、清掃性と衛生面を強化。
  • バリアフリー対応のスロープ設置:車いす利用者や歩行が困難な方でも安心して移動可能に。
  • 壁紙の全面張り替え:明るく清潔感のある室内空間に刷新。
  • 浴室の空調設備追加:夏冬の温度調整を可能とし、ヒートショック対策にも貢献。
  • 洗面台・シンクの更新(計11カ所)
  • 居室やトイレの扉、便座の交換:使用感の改善と衛生面の向上を図る。

このように、単なる修繕工事ではなく、設備全体をアップグレードする「リニューアル工事」に近い内容となっています。

設計は前橋市の仲設計、施工業者は今後選定へ

設計業務は群馬県前橋市の設計事務所「仲設計」が担当。現在、施工業者の選定方法についてはまだ決定していないものの、近く入札または契約方法が発表される見通しです。

工期はおよそ1年間を予定しており、完成は2026年4月の見込みです。地域に根ざした高齢者福祉施設として、より快適で安全な空間づくりが進められます。

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