建設業界でも「週休2日」が当たり前に?2025年度の工事発注ルールに変化
近年、建設業界でも働き方改革が進んでいます。2024年から時間外労働の上限規制が適用されて以降、「週休2日制」に取り組む建設会社が増えてきました。
こうした中、国土交通省 関東地方整備局は、2025年度に発注する「週休2日制適用工事」の概要を発表。これには、工事を受注する企業にとって大きな影響を持つ「補正係数」の新ルールも含まれています。とくに「完全週休2日(土日休み)」に取り組んだ場合の補正係数が明示された点が注目されています。
この新ルールは、2025年4月1日以降に公告されるすべての工事に適用されています。
そもそも「補正係数」とは?休日が増えても賃金が減らない仕組み
建設業界では、土日休みなどの休日が増えると、労働時間が減るために賃金も減ってしまうのでは…という不安があります。こうした問題を解決するために、国は「補正係数」という考え方を導入しています。
簡単に言うと、「休みを増やした分、労務費や管理費に少し上乗せしてもよい」という仕組みです。これによって、工事を請け負う会社が無理なく週休2日制に取り組めるようになっています。
2025年度の新しい補正係数とは?
今回発表された2025年度の補正係数には、「完全週休2日制(土日休み)」に対応した新たな数値が追加されました。具体的には以下のようになっています:
- 労務費:1.02(従来通り)
- 共通仮設費率:1.02(従来より0.01アップ)
- 現場管理費率:1.03(従来より0.01アップ)
これらの数値は、月単位での工事にも適用されます。これにより、技能労働者の給与水準が落ちず、現場の管理コストにも配慮された形となっています。
なお、これまで使われていた「通期で週休2日を取る場合」の係数は廃止され、新たな基準に統一されました。
総合評価方式での加点制度は廃止へ
週休2日制を積極的に推進するため、関東地方整備局ではこれまで、「総合評価方式」での加点制度を取り入れていました。これは、「しっかり休める体制を整えている会社は評価が高くなる」という仕組みです。
しかし、2023年度には週休2日制を取り入れている企業が100%に達成したことを受けて、2025年度からはこの加点制度を廃止する方針となりました。
また、発注の方法も、これまでの「発注者指定方式」から「受注者希望方式」に変更され、企業側がより柔軟に対応できるようになっています。
建設業の未来を見据えて
今回のルール改正は、「建設業界でも週休2日が普通になる時代」への大きな一歩です。特に若手人材の確保や、現場の働き方改革を進めるうえで、「しっかり休める環境づくり」は欠かせないテーマです。
建設業界にとっては、「人手不足をどう解消するか」「長時間労働をどう減らすか」が大きな課題となっています。今回のような国の後押しによって、より多くの企業が週休2日制に取り組みやすくなり、働きやすい業界へと変化していくことが期待されます。