群馬県安中市は、2025年度から2034年度までの10年間で、市内の上水道施設に関する新設・更新・改修工事を計画しています。この期間中に予定されているのは、人見副配水池の新設をはじめとした6つの主要事業と、官民連携や新技術導入に向けた調査・検討です。
人見副配水池を新たに整備へ 将来の水需要に備える
今回の計画の中心となるのが「人見副配水池築造事業」です。松井田町人見地区にある既存の人見配水池(1977年完成、PC造・5,100立方メートル)に加え、将来的に見込まれる大口需要者による水の使用増加に対応するため、副配水池を新設します。
この事業は2031年度から2034年度にかけて、4年間かけて実施される予定です。将来的な水不足のリスクに備えるための重要なインフラ整備となります。
川久保配水池を移転・更新 老朽施設からの脱却
川久保配水池更新事業では、1968年に完成した既存の配水池(RC造・縦横約14m・深さ4m・容量790立方メートル)の老朽化を受けて、白髭神社(松井田町原226)近くの敷地約2,300㎡に新しい配水池を建設します。
計画のスケジュールは以下の通りです:
- 2025年度:詳細設計
- 2026年度:築造工事および付帯工事
- 2027年度:既存配水池の解体工事
工事中も現在の配水池を使用しながら進められるため、住民への影響を最小限に抑える配慮がされています。
二軒在家配水池も更新へ 老朽化への対応
1969年に整備された二軒在家配水池(RC造・790立方メートル)も老朽化が進んでいることから、更新事業が進められます。こちらは2032年度から2034年度の3年間にわたり、段階的に実施される計画です。
人見送水管も更新 今後の需要増に備える
人見送水管更新事業では、久保井戸浄水場から人見配水池までを結ぶ重要な送水管の更新が行われます。今後の水需要の増加を踏まえ、ルート変更を含めた配管の布設替えを2028年度と2029年度の2年間で進める方針です。
送水管の老朽化や災害リスクに対する備えも含まれており、水道インフラの強化につながる事業といえます。
久保井戸浄水場を耐震・浸水対策で改修
1970年代に整備されたとされる久保井戸浄水場についても、今後想定される自然災害に備え、以下のような改修を行う予定です:
- 浄水池などの浸水対策
- 耐震補強
改修は2027年度、2030年度、2034年度の3回に分けて実施されます。
坂本浄水場の再構築 緩速ろ過池を中心に更新
坂本浄水場については、施設の老朽化が著しく、特に緩速ろ過池の更新が求められています。これに対応するため、2029年度から2034年度の6年間をかけて、段階的に再構築事業を進めていきます。
官民連携や新技術導入にも注目
今回の整備計画には、施設整備に加えて以下のような先進的な取り組みも含まれています:
官民連携の拡大に向けた調査
DBO(設計・建設・運営)やPFI(民間資金活用による社会資本整備)といった官民連携手法について調査が行われます。民間企業の技術力やアイデアを活用し、効率的かつ持続可能な運営を目指す狙いがあります。
マイクロ水力発電の可能性を検討
配水池への導水に伴う標高差を利用した「マイクロ水力発電」の導入についても検討されます。自然エネルギーの活用として注目されるこの技術が、安中市の上水道施設にも導入される可能性があります。
AI・衛星技術による漏水調査
漏水の早期発見と対策に向け、AIや人工衛星を活用した調査方法の導入も検討対象です。これにより、従来よりも効率的な管理が可能になると期待されています。