建設業界の竹中工務店は、建物のライフサイクルを通じたCO2排出量の削減をサポートする新しいプラットフォーム「Z-CARBO(ジカーボ)」を開発しました。このプラットフォームは、建物の設計から解体までの全過程で排出されるCO2を可視化し、計測することを目的としています。
「Z-CARBO」は、これまでに竹中工務店が手掛けた100件以上の設計・施工物件のデータを基に、AIを活用して建物のライフサイクル(LC)におけるCO2排出量を評価します。これにより、顧客の事業活動から排出されるCO2を削減する方法を具体的に提案できるようになり、企業の脱炭素化を支援します。
どんな仕組みでCO2削減を支援するのか?
「Z-CARBO」は、竹中工務店が手掛けた物件の詳細なデータをAIが学習し、建築物の見積もりから設備などを自動的に抽出します。その結果、各項目ごとにどれだけのCO2が排出されるのかを算定できるようになります。このAI技術を使えば、今後新築や改築、改修を計画している物件に対しても、CO2排出量を事前に予測し、必要な削減策を提案することができます。
例えば、新しいオフィスビルの設計段階で、CO2排出量が予測され、それに基づいてどの資材を使用するか、エネルギー効率をどう改善するかといった具体的なアドバイスが可能です。こうした情報を設計段階から得ることができれば、建物の完成後のCO2排出量を大幅に削減することができます。
環境に優しい建築の未来を支える
このプラットフォームは、設計から建設、運用、そして最終的な解体に至るまでのすべての段階でCO2排出量を管理し、減少させることを目指しています。竹中工務店は、このシステムを活用し、今後さらに多くの建築プロジェクトでCO2削減を進めると共に、環境に優しい建築の普及を加速していきます。
例えば、過去に手掛けたゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)認証を持つ建物を活用し、再生可能エネルギーの使用や効率的なエネルギー管理の方法を提案しています。これにより、ただの建設業務に留まらず、企業の脱炭素目標を達成するための重要なパートナーとなることが期待されています。
持続可能な未来に向けた新しい取り組み
竹中工務店の「Z-CARBO」は、建設業界における脱炭素化を実現するための新たな道を切り開いています。このプラットフォームにより、建物のライフサイクル全体でCO2排出量を管理し、持続可能な未来を作るための第一歩を踏み出しました。今後、この技術は他の建設プロジェクトにも広がり、より多くの企業が環境負荷を低減できるようになるでしょう。