建設業界に新たな動き!退職金引き上げへ「複数掛け金制度」の導入を検討【建設ニュース/最近の動向】

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建設業の退職金アップに向けた具体的な検討がスタート

2025年4月25日、建設業界における退職金制度の大幅な見直しに向けた動きが始まりました。
勤労者退職金共済機構(勤退共)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部)が事務局となり、有識者による初の検討会議が東京都内で開催されました。

今回の主なテーマは「複数掛け金制度」の導入。
これは、1人の建設作業員に対して、通常より多くの掛け金を納付できる仕組みを整えることで、退職金額の大幅引き上げを目指すものです。

この動きは、技能者の処遇改善と、建設業界の深刻な担い手不足を解消する狙いがあります。

そもそも「複数掛け金制度」とは?

これまでの建退共制度では、1人あたり日額320円の掛け金が基本となっていました。
しかし、これでは長年働き続けても、退職金額は約388万円(37年間納付の場合)にとどまっていました。

今回検討されている複数掛け金制度では、例えば次のような仕組みが想定されています。

  • 技能レベルや経験年数に応じて、上乗せ掛け金を設定
  • 電子申請でポイント付与も可能に
  • 最終的な退職金額を1,000万円規模に引き上げることを目指す

たとえば、ベテラン作業員で技能評価が高い人には、通常の320円に加え、さらに上乗せして掛け金を納付。これにより、より多くの退職金が支払われるイメージです。

技能に応じた処遇改善を目に見える形にすることで、建設業界に若い世代を呼び込む効果も期待されています。

建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携も視野に

今回の制度設計では、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携も議論されています。
CCUSは、技能者の資格・経験などを電子的に一元管理する仕組みです。

これにより、たとえば

  • CCUSで高い技能評価を受けた作業員には、自動的に上乗せ掛け金が適用される
  • 民間工事でも掛け金制度を普及させるため、自動徴収の仕組みを構築

などの具体策が検討されます。

これにより、公共工事だけでなく、民間の建設工事でも建退共制度のメリットを享受できる体制を目指します。

初会合で語られた今後への期待

検討会議の座長には、東京大学大学院工学系研究科の堀田昌英教授が就任。
また、厚生労働省や国土交通省、建設業振興基金もオブザーバーとして参加し、制度設計を後押しします。

初会合の中で、勤退共の梅森理事長は次のようにコメントしました。

「建設業の担い手確保が大きな課題になっている。技能レベルに応じた処遇改善に資する制度としたい。業界の皆さんにとって使いやすく、真に役立つ仕組みを作り上げたい」

今後は、2024年度中に一定の方向性をまとめ、厚生労働省が正式に検討を引き継ぐ予定です。

まとめ:建設業界の未来を支える大きな一歩

建設業界では近年、高齢化や若手不足が深刻な課題となっています。
今回の「複数掛け金制度」の導入検討は、技能者にとって魅力的な将来設計を提供し、業界全体の活性化につながる可能性を秘めています。

今後の具体的な制度設計や実施スケジュールに注目が集まります。

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