外国人技能者の支援に取り組む建設技能人材機構(JAC)は、2025年度から「無料の技能講習」および「オンライン特別教育」の内容を大幅に拡充することを発表しました。
対象は主に特定技能外国人や技能実習生などの外国人建設労働者で、母国語によるサポート体制もさらに強化されます。
受講者数10倍を目指す!無料技能講習は全国で139回開催へ
JACが提供する技能講習は、2025年度には全国で合計139回にわたり開催されます。講習の実施には、建設機械の教習実績を持つ「PCT」に加え、「キャタピラー教習所」の協力も得て、より多くの地域・分野での対応が可能となります。
講習の対象科目は以下の5つ:
- 車両系建設機械(整地・運搬・積込み・掘削)
- フォークリフト
- 小型車両系建設機械(3トン未満)
- 移動式クレーン(1トン未満)
- 新たに追加されるガス溶接
このガス溶接講習は、建設キャリアアップシステム(CCUS)でレベル2に求められる重要な資格の一つとして位置付けられています。
講習はベトナム語・インドネシア語に対応、今後は英語・中国語・カンボジア語も予定
講習は、外国人受講者の理解を助けるため、ベトナム語とインドネシア語で提供されており、すでに2025年1月からスタートしています。今後は英語・中国語・カンボジア語での講習にも対応する準備が進められています。
オンライン特別教育も拡充、入国前に取得できる環境を整備中
JACは、2024年7月からスタートしたオンライン特別教育も強化。すでに7科目を5言語で提供しており、2025年度はさらに10科目の追加が予定されています。
具体的には以下のような講習が予定されています:
- 玉掛け(1トン未満)
- ローラー運転
- 小型建設機械(3トン未満)
- コンクリートポンプ車の操作
- 高所作業車の運転
- 電気取り扱い(低圧)
- 特定粉じん作業
- 石綿を含む建物作業 など
このオンライン教育は、インドネシアやベトナムなどの現地送り出し機関と連携し、日本へ渡航前に受講・修了できる体制を構築しています。
例えば、建設現場で必要不可欠な「フルハーネス型安全帯使用作業」や「足場の組み立て等作業」なども、入国前に修了証を取得できるようになります。
実技支援や修了証の即時発行も魅力
講習は学科・実技試験に合格すればその場で修了証を発行。実技指導もPCTとキャタピラー教習所が連携してサポートを行う予定で、オンラインと現場の両面から実践的な学びを提供しています。
外国人技能者の活躍を後押しする取り組み
JACのこの取り組みは、技能者不足に悩む建設業界全体にとっても大きな意味を持っています。
とくに地方の建設現場では外国人労働者の受け入れが進んでおり、彼らの安全教育やスキル向上は急務となっています。
今後、講習回数や開催地域をさらに拡充していくことで、より多くの外国人労働者が安全に、かつ即戦力として現場で活躍できるようになると期待されています。
まとめ:建設業界の未来を支える多言語教育の進化
今回のJACの発表は、単なる講習の拡充ではなく、建設業界全体の持続可能性に関わる重要な施策です。
技能を持った外国人労働者が、日本国内で安心して働き、成長できる環境整備が進むことで、建設現場の安全性や生産性の向上にもつながっていくでしょう。