大林組、新しい実験装置を開発 – 複合災害の影響をリアルに再現

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近年、自然災害の頻発化とその複合的な影響により、災害対策の重要性が一層高まっています。大林組は、これに対応するための新しい実験装置を開発しました。この装置は、地震と降雨といった複合的な災害要因を再現し、実際の災害に近い状況をシミュレーションできるものです。これにより、より実効性のある災害対策や新しい工法の開発が可能になります。

複合災害のシミュレーションが可能に

大林組が開発した「遠心場降雨発生システム」は、地震と降雨が同時に発生した場合の影響をリアルに再現できる装置です。これにより、従来の実験設備では再現できなかった複合災害を実験室内でシミュレーションし、実際の災害対策にどのような効果があるのかを評価することができます。

このシステムは、東京都清瀬市にある大林組技術研究所の遠心模型実験装置に搭載されており、回転する動的バケットが振り上がることで、実際の土壌と同じ力が働きます。これにより、地震と降雨の複合作用を忠実に再現することができるのです。

具体的な実験内容 – 土壌の崩壊まで再現

実験では、実際の降雨を再現し、地中の水分量が増加することで、どのようにして地盤が不安定になり、最終的に崩壊に至るのかを観察することができます。このシステムでは、弱い雨から強い雨まで、さまざまな降雨強度を設定でき、最大で2000ミリの総雨量をシミュレートできます。

例えば、弱い降雨が続いた場合に地盤がどの程度不安定化するのか、逆に強い雨が降った場合にどのように土壌が崩れるのかを確認できます。これにより、土構造物の健全性評価や、新しい工法の効果をより正確に検証することが可能となります。

地震との複合作用の再現

さらに、この装置は地震動も再現可能です。降雨後に地中の水分量が増えた状態で地震動を加えると、どのような影響が出るのかを確認できます。また、地震動によるダメージが蓄積した状態で降雨を加えると、どのように土壌が反応するのかもシミュレーションできます。

これにより、降雨と地震の複合作用による影響を評価する新しい方法が提供されます。これまでの実験では再現できなかった、より現実に即した災害対策の検証が可能になったのです。

土構造物の健全性評価と新工法の開発

この実験装置は、高速道路や鉄道の盛り土構造物だけでなく、斜面や河川堤防、ダムなどの土構造物にも応用可能です。降雨や地震が発生した際の構造物の挙動を検証することで、より効果的な災害対策を講じることができます。また、この実験データを基に、新しい工法を開発し、災害に強い土構造物を作るための技術が進化することが期待されています。

今後、遠心場降雨発生システムを活用して、降雨と地震に強いインフラの提供が進むことが予想されます。これにより、安全で安心な社会インフラの構築が進むことになるでしょう。

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