2025年4月14日、建設業界を代表する3つの団体――日本建設業連合会(通称:日建連)、全国建設業協会(全建)、日本道路建設業協会(道建協)――の幹部が、東京都千代田区の国土交通省を訪れ、中野洋昌国土交通大臣と面会しました。
今回の面会は、政府が6月に策定を予定している「国土強靱化実施中期計画」について、建設業界から具体的な要望を伝えるためのものです。
中でも大きな注目を集めたのが、今後5年間で総額25兆円規模の予算確保を求めた点です。
建設業界が求める「25兆円」の背景とは?
この25兆円という数字は、ただの要望ではありません。近年の建設現場では、資材の価格が高騰し、さらに人手不足により労務費も上昇しています。たとえば、鉄筋やコンクリートの単価は数年前に比べて2〜3割増し、アスファルト合材の製造量も減少傾向にあり、道路インフラ維持にも深刻な影響を及ぼしています。
こうした実情を踏まえ、今後の災害対策やインフラ整備に必要な予算規模として25兆円は現実的で不可欠だと、日建連の宮本洋一会長は説明しました。
各団体からの具体的な要望内容
- 日建連(日本建設業連合会)
宮本会長が代表して、25兆円がなぜ必要か、その根拠を丁寧に説明。 - 全建(全国建設業協会)
今井雅則会長が登場。建設業の現場での働き方改革に触れ、「生産性を高めつつ、柔軟な働き方を実現するための環境整備が必要」と訴えました。たとえば、週休2日制の導入やICTを活用した業務効率化が課題になっています。 - 道建協(日本道路建設業協会)
西田義則会長は、アスファルト合材の生産量が減っている現状を指摘。「道路予算の安定確保が、防災・減災にとっても不可欠だ」と強調しました。
また、参議院議員の佐藤信秋氏も同行し、政治的な後押しも行われました。
中野大臣の返答と今後の見通し
これに対し、中野洋昌国交相は「現在の素案では、20兆円強の規模を見込んでいる」としつつ、「資材価格や人件費の高騰を踏まえて、今後の予算編成で積み増すことも検討したい」と前向きな姿勢を示しました。
また、働き方改革についても、「実際に現場を訪れて、時間外労働規制などの課題が感じられた。しっかり受け止めていく」と述べ、現場感覚に寄り添った対応を示しています。
さらに、「建設業の担い手は、社会全体の担い手だ。この認識を広げる政策を進めたい」と話し、建設業界の社会的意義を改めて強調しました。
まとめ|建設業界が動いた2025年春、今後の国の対応に注目
今回の要望は、「建設業 最近」「建設 ニュース」のキーワードにふさわしく、業界全体が動いた大きなニュースといえます。
インフラ整備、防災、そして担い手不足の課題など、日本の未来に関わる多くの問題が複雑に絡み合う中、国の中期計画にどこまで建設業界の声が反映されるかが今後の焦点となるでしょう。