群馬県前橋市では、動物との共生社会を推進する取り組みの一環として、新たな動物愛護管理センター(仮称)の整備計画が進んでいます。工事費は2億2,900万円を当初予算に計上しており、建築・電気設備・機械設備の3つに分離して発注される予定です。市は現在、発注に向けた準備を進めており、2025年6月までに一般競争入札の公告を行う方針を明らかにしています。
新施設は2026年度の稼働開始を目指す計画です。建物の構造は鉄筋コンクリート造(RC造)2階建てで、延べ床面積は約360㎡(360.75㎡)とされています。建設予定地は、前橋市保健所(朝日町3-36-17)に隣接する既存の動物収容施設棟の西側。これまでの施設は平屋で、延べ床面積は104.4㎡と小規模なため、犬3頭・猫7匹を収容している現在の状態でも手狭な状況が続いています。
新施設で収容可能な動物数が約2倍に
新しい動物愛護管理センターが整備されると、収容可能な動物数は犬9頭・猫15匹に増加する見込みです。施設の拡充により、より多くの動物を適切に保護し、譲渡などへの対応力も高まることが期待されています。
また、施設の設計段階では次の3つのコンセプトが掲げられました。
- 動物にやさしい設備の導入
- ボランティアとの協働体制の整備
- 教育や情報発信の拠点としての機能強化
具体的な施設の内容としては、以下のようなものが計画されています。
- 犬・猫の飼養スペースの拡大
- 猫の譲渡を促進するマッチング室
- 市民向けの講習会やイベントに対応する多目的室
- トリミングや相談に使える専門室
- 動物の治療や手術が可能な処置室
内装面では、掃除しやすい床材の採用や、採光や防音に配慮した窓の設置など、動物にも人にも快適な空間づくりが目指されています。
保健所と接続する通路やキャノピーも整備
新施設だけでなく、保健所と動物愛護管理センターをつなぐ連絡通路も整備予定です。この通路は鉄骨造(S造)2階建て、延べ床面積43.16㎡。さらに、既存施設の南側にはS造平屋建て・14.53㎡のキャノピー(屋根付き通路)も設けられます。
設計を担当したのは、地元前橋市に拠点を置く山田工務所で、2024年度に実施設計がまとめられました。
ふるさと納税型クラウドファンディングも活用
前橋市では、今回の施設整備にあたり、クラウドファンディング型のふるさと納税制度も活用しています。2024年度の第1回目では、4,138,222円が集まりました。この寄付金は、ケージやキャリーケース、医療機器、トリミング器具などの備品購入に充てられる予定です。
こうした地域の協力を得ながら進められている動物愛護施設の整備は、動物と人とのより良い関係づくりに貢献するものと期待されています。群馬県内の建設業界でも、公共施設の建設に関わるこうした動きに注目が集まっています。