伊勢崎市がし尿処理施設の統合計画を策定へ|茂呂クリーンセンターに集約

群馬 建設ニュース

伊勢崎市は2025年度、し尿処理施設の統合に向けた整備計画を策定する方針を明らかにした。現在、市内には「茂呂クリーンセンター」(伊勢崎市茂呂南町5097-2)と「境クリーンセンター」(伊勢崎市境上矢島675)の2つの施設があるが、老朽化対策として境クリーンセンターを廃止し、茂呂クリーンセンターに統合する計画だ。

この整備計画策定に向け、伊勢崎市は2025年度の当初予算として、し尿・浄化槽汚泥共同処理施設整備計画策定業務委託料として約1,796万3,000円を計上。年度の早い段階で業務委託を行い、本格的な検討を進める予定としている。

老朽化するし尿処理施設の現状と統合の必要性

伊勢崎市内では現在、茂呂クリーンセンターと境クリーンセンターの2カ所でし尿処理が行われている。しかし、両施設ともに建設から長い年月が経過し、老朽化が進んでいることが課題となっていた。施設の維持管理費の増加や、今後の安定した処理体制の確保が求められる中、2施設を統合することで効率的な運営が可能になると判断された。

2024年度には、基礎調査業務を東京都中央区の「日本水工設計」に委託し、し尿処理施設の現状や将来的な処理需要の推計などを行った。この調査結果を基に、2025年度には、統合後の施設の規模や設備の再利用、新設の必要性などを具体的に検討する計画だ。

茂呂クリーンセンターの役割強化へ

統合計画では、境クリーンセンターの処理機能を茂呂クリーンセンターに集約することになる。現在、両施設はともに「高負荷脱窒素処理方式(IZジェットエアレーションシステム)」を採用しており、茂呂クリーンセンターの処理能力は1日当たり112キロリットル、境クリーンセンターは50キロリットルとなっている。統合後は、これらの処理能力を適切に調整し、より効率的な運用を目指す。

また、統合に伴い、施設の再編や新たな設備投資の必要性も検討される。処理能力の向上だけでなく、環境負荷の軽減やエネルギー効率の向上といった観点も踏まえた計画策定が求められる。

下水道事業としての統合計画

今回の統合は、単なる施設の集約にとどまらず、伊勢崎市の下水道事業全体の効率化の一環としても進められる。し尿処理施設の統合により、維持管理コストの削減や運用の最適化が期待されるほか、今後の人口動向や処理量の変化に柔軟に対応できる体制の構築を目指している。

今後のスケジュールとしては、2025年度に整備計画を策定し、その後、施設の改修・新設に向けた具体的な計画を詰めていく見通しだ。市民にとっても、より安定したし尿処理体制の確保が図られることになり、生活環境の向上が期待される。

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