中部地方整備局は、2025年度に向けた「中部インフラDX行動計画(第4版)」を策定しました。これは、インフラ分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みをさらに進めるための計画で、建設業界にとっても注目すべき最新ニュースです。
今回の改訂では、これまでの進捗状況の見直しに加えて、新たな技術の導入や災害対応力の向上に向けた方針が盛り込まれています。
テックフォースの災害対応を“スマート化”へ
特に注目されているのが、テックフォース(緊急災害対策派遣隊)の活動をよりスマートにする取り組みです。
これまで、災害発生時には隊員が現地に赴き、計測や記録、撮影などの作業を手作業で行っていました。その後、作業基地で報告書を作成する必要があり、1カ所の調査に多くの人手と時間がかかっていたのが実情です。
2025年度からは、これらの工程を効率化するために「TECアプリ」というデジタルツールを活用。将来的には、AIや3D点群データを用いて、被災状況の写真やテキスト情報から自動で報告書を作成する仕組みの導入を目指しています。これにより、現場作業の負担軽減と迅速な情報共有が期待されます。
大規模災害時の「通行可否情報」をAIで迅速に取得
もうひとつの重要な取り組みが、災害時の道路状況把握の迅速化です。
例えば地震や豪雨災害などで、どの道路が通れるのか、逆に通れないのかという情報は、救助活動の効率に直結します。2025年度からは、ETC2.0の走行データを活用し、AIが「通行実績が急に消えた範囲」を特定。これによって通行可否を自動で把握し、消防・警察・自衛隊などの関係機関へすばやく情報提供ができる体制を整えます。
現在、このシステムの本格運用に向けた評価・改良が進められています。
その他の取り組み|リモートでの用地交渉や公園管理もDX化
2025年度の行動計画では、その他にもさまざまなDX施策が予定されています。
- リモートでの境界確認:急傾斜地など危険な場所に立ち入らなくても、映像を通じて土地の境界を確認できるようになります。
- オンラインでの用地交渉:ウェブ会議システムを活用し、土地所有者と役所が遠隔で交渉を行う仕組みも導入。
- 公園の運営管理の効率化:国営木曽三川公園では、運営・維持管理の効率化に向けたDXの検討が進められています。
建設業界に広がるDXの波
中部インフラDX行動計画は、2022年4月に策定されて以来、最新のデジタル技術を積極的に導入し、建設業界の生産性向上や働き方改革を目指して進化してきました。国や自治体だけでなく、民間の建設会社や関連団体とも協力しながら、現場の課題を解決するためのDXが着実に進んでいます。
建設業の最新ニュースや最近の動向に関心のある方にとって、今後の展開から目が離せません。