群馬県藤岡市で、新たな道路整備が進んでいます。群馬県藤岡土木事務所は、県道上日野藤岡線のバイパス整備として、(仮称)黒石1号橋の建設を進める計画です。2025年4月ごろを目安に、A1橋台とA2橋台の工事について、条件付き一般競争入札による公告を予定しています。工事期間はいずれも約8カ月と見込まれています。
災害リスクを回避するバイパス計画
工事が行われる「黒石工区」は、沿線に地滑りの指定区域となっている急な崖地が連続しており、大雨などの災害時には通行止めとなる危険性がある場所です。このような背景から、既存の道路に代わる新たなバイパスを整備することで、地域住民の安全と道路の信頼性を確保することが求められています。
今回のバイパス計画では、現道の南側に新しいルートを設ける形で工事が進められ、全長約620m・幅7mの2車線道路として整備される予定です。
バイパスの東側には黒石2号橋、西側には黒石1号橋を新設し、地形や災害リスクを考慮した橋梁設計が採用されています。
黒石1号橋の概要と工事内容
黒石1号橋は、全長55.0m、幅9.2mの鋼製の単純箱桁橋です。橋の上部構造は、長さ約54.8mの桁を1本架ける方式で、ベント工法と呼ばれる特殊な架設技術を採用します。鋼材の重量はおよそ180トンにも及び、非常に大きなスケールの工事となる見込みです。
床面には約130立方メートルのコンクリートを打設し、橋の両側には約141m分の防護柵も設置される予定です。なお、照明灯の設置は行わない方針です。
A1・A2橋台の構造と特徴
黒石1号橋を支えるのは、逆T式橋台と呼ばれる頑丈な下部構造です。藤岡市の上日野側に設置されるA1橋台は、高さ9.5mの構造で、254.7立方メートルのコンクリートを使用して直接基礎で施工されます。
一方、藤岡市中心部側に設置されるA2橋台は、高さ6.7mで、161.4立方メートルのコンクリートを使用。基礎には直径1,000mm・長さ5.5mの場所打ち杭を6本打設することで、安定性を高めています。
この橋の詳細な設計は、三井共同建設コンサルタント(東京都品川区)が手がけており、安全性と耐久性の両立が図られています。
黒石2号橋の進捗状況
黒石バイパスのもう一方の橋である「黒石2号橋」も注目です。こちらは全長53.0m、幅8.2mの鋼製合成細幅箱桁橋として計画されており、すでに2023年度にA1・A2橋台の発注が完了。工事は地元・藤岡市の塚本建設が担当しており、地域企業が活躍する場にもなっています。
詳細設計は中央コンサルタンツ(愛知県名古屋市)が担当しました。
群馬県内のインフラ整備に注目
このような道路・橋梁の整備は、群馬県内の建設業界にとっても重要なプロジェクトです。特に、地元企業が工事を請け負うことで地域経済の活性化にもつながります。藤岡市周辺の交通インフラ整備は今後も注目される分野であり、今後の工事進捗にも関心が集まります。