群馬県みなかみ町(町長:阿部賢一)は、2025年度の当初予算案を発表しました。
一般会計の総額は157億4,000万円で、前年度より1億6,000万円(1.0%)の減少となりました。
その中でも注目されるのは、「教育施設・文化施設の改修」と「道路・橋梁などのインフラ整備」に対する予算の重点配分です。
特に工事請負費の総額は20億2,782万3,000円にのぼり、町の建設・改修事業への本格的な取り組みがうかがえます。
教育環境の充実へ ― にいはるこども園の長寿命化改修に2億8,000万円
町の重点事業のひとつが「にいはるこども園」(みなかみ町須川774-1)の改修工事です。
改修費用として2億8,000万円が計上されており、主な内容は以下のとおりです。
- 自園調理ができるよう調理室の拡張
- 照明のLED化による省エネ化
- 老朽化箇所の補修
同園は、2008年度末に閉校した須川小学校の校舎を再利用して、2009年に開園された施設です。
鉄筋コンクリート造(RC造)2階建てで、延床面積は2,174㎡と比較的大規模な施設となっています。
子育て世代にとって、安全で快適な保育環境の整備は重要なポイントです。
今回の改修は、地域の教育環境の質を高めることにもつながるといえるでしょう。
文化施設も改修へ ― カルチャーセンターの安全対策に1億1,000万円
町の文化活動の拠点でもある「カルチャーセンター」(みなかみ町上牧1735)も、長寿命化に向けた大規模改修が予定されています。
1億1,000万円の予算が確保されており、以下のような整備内容となっています。
- ホールの天井落下防止対策(ネット工法による全面整備)
この施設は、鉄骨造とRC造の平屋建てで、床面積は2,121.87㎡。
ホールには350席の固定席があり、地域イベントや講演会などで多く利用されています。
設計業務は、前橋市にある「福島建築設計事務所」が担当しています。
安全性と機能性を両立させた改修によって、地域の文化活動の場がより使いやすくなりそうです。
新たな観光・地域活性化事業 ― おもちゃ美術館と木育工房の整備もスタート
2025年度予算には、新規事業として「おもちゃ美術館の施設改修設計」や「木育(もくいく)を推進する工房の基本設計業務」なども含まれています。
計上額は6,985万円です。
おもちゃ美術館は、新治農村改善センター(湯宿温泉2272-49)の施設を改修して整備される予定で、観光資源としても注目されています。
また、木育工房の整備は、地元木材を活かしたものづくりや教育活動の拠点づくりを目指すものです。
地域の魅力発信と観光促進、そして教育的効果の両立が期待される事業です。
道路・橋梁・消雪設備などインフラ整備も着実に推進
インフラ整備も、町の予算で大きな割合を占めています。
具体的には、道路の老朽化対策や消雪設備の改修、橋梁の長寿命化など、多岐にわたる整備が予定されています。
- 橋梁長寿命化事業:1億7,805万円
- 町道真政悪戸線整備事業:9,020万円
- 町道後閑1号幹線道路改良事業:4,580万円
- 散水消雪施設改修工事費:4,400万円
- 狭あい道路拡幅整備事業:6,924万9,000円
道路ストック総点検・老朽化対策事業では、危険箇所を優先的に補修していく方針も示されました。
雪が多い地域ならではの消雪設備の改修も、冬季の通行安全に貢献するでしょう。
群馬県内の建設業にも波及効果
今回の予算案では、建設・改修に関する工事費だけで20億円を超えており、地域建設業への発注機会が大幅に増えると予想されます。
特に、地元企業や設計事務所との連携が強まれば、地域経済の活性化にもつながるでしょう。
群馬県内の建設動向を追ううえで、みなかみ町の今回の予算案は大きな注目ポイントといえそうです。