【建設ニュース|最近の動向】BIM活用が拡大中!教育体制や実行計画の整備も進む

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近年、建設業界で注目を集めている「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の活用が、さらに広がりを見せています。BIMとは、建物の設計から施工、維持管理までのプロセスを、3Dモデルとデータを使って一元的に管理・共有する技術です。設計者・施工者・発注者など、関係者全員が同じ情報を共有できるため、手戻りの削減や工期短縮、コストの適正化に繋がるとされています。

このたび、日本建設業連合会(日建連)が会員企業を対象に実施したアンケート調査(2023年11月~2024年2月)によると、多くの建設会社がBIMの活用を本格化していることが明らかになりました。

BIM教育コンテンツの整備状況は?

調査に回答したのは、建築部門に所属する会員企業61社のうち45社。そのうち約62%の企業がBIMに関する教育コンテンツの整備に取り組んでいることが分かりました。

  • 「すでに教育コンテンツを整備済み」:26.6%
  • 「現在、整備中」:35.5%
  • 「未整備」:37.7%

この結果から、多くの企業が社内でのBIM教育の仕組みづくりに注力している様子がうかがえます。たとえば、大手ゼネコンでは社内研修の一環としてBIMのハンズオンセミナーを実施したり、動画教材を社内ポータルで配信したりするなどの工夫が進められています。

BIM実行計画書の運用状況はどうなっている?

次に、BIMをプロジェクトにどう取り入れているかを示す「BIM実行計画書」の運用状況についてです。

  • 「すべてのプロジェクトで作成」:13.3%(2021年度比で微減)
  • 「一部のプロジェクトで作成」:51.1%(前回より16.1ポイント増加)

全体では64.4%の企業が、何らかの形で実行計画書を作成・運用していることが分かりました。ただし、全プロジェクトに適用している企業はまだ少数にとどまっており、導入状況にバラつきがあるのが現状です。

この背景には、プロジェクトの規模や特性によってBIMの適用が難しい場合があることや、現場ごとのノウハウ蓄積が不十分であるといった課題があると考えられます。

こうした状況を受け、日建連では今後、BIM実行計画書のひな型を整備し、誰でも活用しやすい環境づくりを進める方針を示しています。

専門工事会社との連携も少しずつ前進

BIMはゼネコンだけでなく、鉄筋・型枠・仕上げなどを担当する専門工事会社との連携が重要です。今回の調査でも、以下のような連携の進展が見られました。

  • 躯体モデル(建物の骨組み部分)を使った合意形成:33%(前回比+10ポイント)
  • 仕上げモデルの合意形成:18%(前回比+6ポイント)

また、施工図の作成にBIMモデルを活用している割合は次の通りです:

  • 躯体図の作成:19%
  • 平面詳細図などの施工図:14%
  • 設備の施工図:14%

いずれも2021年度からわずかに上昇していますが、活用率はまだ2割前後にとどまっており、本格的な普及はこれからと言えそうです。


今後の展望と建設業界におけるBIMの可能性

今回の調査からは、BIMの教育や計画作成など、土台となる部分の整備が進んでいることが読み取れます。一方で、すべてのプロジェクトに対する運用や専門工事会社との連携といった面では、まだ課題が残されています。

BIMは単なる3D設計のツールではなく、建設プロセス全体を効率化するための「情報プラットフォーム」とも言えます。今後は、業界全体での理解促進と、現場への定着がより一層求められそうです。


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建設業界では、DX(デジタルトランスフォーメーション)や人手不足対応の一環として、BIMをはじめとする最新技術の活用がますます重要になっています。今後もこうした動向に注目し、業界全体の課題解決に向けた取り組みが進められていくでしょう。

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