2025年4月2日、全国建設業協会(全建)の今井雅則会長が、自民党本部(東京都千代田区・永田町)を訪問し、国土強靱化に向けた中期計画に対して「十分な予算の確保を求める」要望を行いました。
現在、政府は今後5年間の国土強靱化計画(実施中期計画)を策定中ですが、建設業界では予算規模が不十分との懸念が広がっています。
老朽インフラや災害対策のために、予算は「25兆円」が必要
今井会長は、資材価格の上昇や人手不足といった建設業界が直面している課題を踏まえ、「5年間で25兆円規模の事業が必要だ」と強調しました。
たとえば、近年の激甚災害――2022年の豪雨災害や、2024年の地震など――の対応には、老朽化した橋梁やダム、堤防の強化・更新が不可欠です。
こうしたインフラ整備には時間とお金がかかるため、現行の5か年加速化対策(おおむね20兆円規模)では不十分というのが建設業界の考えです。
自民党側も「最低20兆円は必要」と同意
自民党側もこの要望に理解を示しており、森山裕幹事長は、政府が提示した「おおむね20兆円強」という中期計画について、
「これは最低ラインであり、毎年積み上げていくべきだ」と述べました。
さらに、国土強靱化推進本部長の佐藤信秋参議院議員も、
「まずは5年間で20兆円をベースにしつつ、建設資材の値上がり分などを加味して25兆円に近づける調整をしていきたい」と説明しています。
地方建設現場では「人手不足」も深刻化
また、建設業界が直面するもう一つの課題として、人手不足があげられます。
自民党総務会長の鈴木俊一氏は、現場の実情に触れながら、
「たとえば砂防工事のように危険な現場では、すでに無人での施工(遠隔操作の重機など)が導入されている」と指摘しました。
特に地方では、若手の人材不足が顕著であるため、無人化・省人化の技術をさらに活用していく必要性が強まっています。
無人施工は、作業員の安全確保だけでなく、労働力不足を補う大きな武器となっています。
建設業界の声を政策に反映できるかがカギ
今回の全建による要望は、単なる予算の要求にとどまりません。
災害に強い国づくり=命と暮らしを守るための投資という明確な意志が背景にあります。
今後、政府がどこまで予算規模を拡充できるか、建設業界だけでなく広く国民の生活にも大きな影響を与えるテーマとなりそうです。