【建設ニュース|大阪府】中間前金払い制度を見直し!年度をまたぐ工事も部分払いが可能に

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大阪府は、公共工事を請け負う建設業者の資金繰りを支援するため、「中間前金払い制度」を大幅に見直しました。これまで中間前金払いを選択した工事では、年度内に出来高(工事の進捗度)が一定に達しないと、翌年度への繰り越しに伴う支払いができないという課題がありました。しかし、今回の制度改正により、年度をまたぐ場合でも、完成した部分に応じて支払いを受けられる「部分払い」が可能になりました。

■制度の主な変更点

① 年度をまたいでも部分払いができるように

建設業界では、工事が複数年度にわたって行われるケースも多くあります。これまでは中間前金払い制度を利用していた工事で、予定していた出来高に年度内で到達しない場合、その工事の一部が完成していても追加の支払いが認められないことがありました。

たとえば、ある公共施設の耐震補強工事が2024年度と2025年度にまたがって実施される場合、2024年度末までに一定の進捗があっても、支払いはストップ。結果として、建設会社側が立て替えで資金を回す必要があり、資金繰りの負担が大きくなるという問題がありました。

しかし、今回の見直しにより、年度をまたいでいる工事でも、その時点で完成している分については、部分払いが可能に。受注者はよりスムーズに資金を受け取ることができ、現場運営や経営の安定化につながります。

ただし、部分払いを行う際は、契約に「部分払いを1回追加する」といった内容の変更契約を締結する必要があります。

② 着工届の提出が不要に

もう一つ大きな変更が、前金払いに必要だった「着工届」の扱いです。これまで、大阪府の工事では発注部局ごとに異なる対応がなされており、とくに都市整備部が発注する土木工事以外では着工届の提出が求められていました。

今回の制度見直しでは、すべての工事・部局で着工届の提出が不要となり、手続きの手間が大きく軽減されます。これにより、特に中小規模の建設会社にとっては、大きな業務負担の削減につながると期待されています。

③ 工事履行報告書だけで中間前金の申請が可能に

大阪府ではこれまでにも、工事現場の手続き簡素化に取り組んできました。その一例として、中間前金払いを申請する際、「出来高報告書」は不要とし、「工事履行報告書」のみで認定請求できる仕組みが導入されています。

また、既済部分(完成した工事部分)に関する検査も、中間技術検査と同様に扱うことで、検査の効率化も図られています。今回の部分払い容認の見直しも、こうした業務のスリム化・スピードアップの一環といえるでしょう。

■建設業者にとってのメリットとは?

  • 資金繰りの安定:年度をまたいでも出来高に応じた支払いが可能になり、資金の流れがスムーズに
  • 手続きの簡素化:着工届の提出が不要に。負担の軽減とスピードアップ
  • 柔軟な契約対応:申し出があれば、4月1日以前の契約にも部分払いが適用可能

公共工事の受注が多い建設会社にとって、今回の大阪府の制度改正は非常にありがたい内容です。今後、他の自治体でも同様の見直しが広がっていく可能性もあります。建設業界に携わる方は、こうした最新の制度変更に注目しておくと、現場運営や資金計画の面で大きなメリットを得られるかもしれません。

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