【建設ニュース|堺市】ICT活用工事が2026年度から大きく変わる!実績評価から提案評価へ

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堺市では、建設工事におけるICT(情報通信技術)の活用をより一層推進するため、2026年度から「提案評価方式」を導入します。これは、従来の「実績評価方式」を見直し、工事受注者が現場に合わせたICT活用の工夫や提案を積極的に評価する仕組みです。

これまでの評価方法「ICT活用証明書」は2024年度で終了

これまでは、堺市が発注する公共工事でICT技術を活用した企業に対して、「ICT活用証明書」が交付されていました。たとえば、3Dによる起工測量や設計データの作成など、一定のICTプロセスを実施すれば証明書を取得でき、その実績が総合評価方式での加点対象となっていたのです。

しかし近年では、ICT施工を行う企業が大手に限らず中小企業にも広がっており、証明書の有無だけでは業者間の差をつけるのが難しくなってきました。
そのため堺市は、より実効性のある評価手法へと切り替えることにしたのです。

2026年度からは「提案評価」へ移行

新たに導入される「提案評価方式」では、施工者が自らの知見を活かし、現場ごとに最適なICTの使い方を提案。その内容が評価される仕組みになります。

例えば、単に3D測量を行うだけでなく、

  • 土質に応じて自動制御建機を使い分ける提案
  • 施工状況をリアルタイムで共有するシステムの導入
  • ドローンによる進捗管理の活用

など、創意工夫のある提案が加点の対象になります。

2026年度は「移行期間」、実績評価との併用が可能に

急な変更による混乱を避けるため、堺市では2026年度を「移行期間」と位置づけています。この期間中は、従来の実績評価と新しい提案評価の両方を適用できる予定で、詳細は「総合評価方式ガイドライン」に明記される予定です。

また、ICT施工の基準を定めた「ICT活用工事試行要領」も改定され、これにより今後は従来の「部分的ICT施工」の定義が見直されます。

部分的ICT施工の定義も変更に

以前は、3D起工測量と設計データの作成を実施すれば「ICTを部分的に活用している」とされていました。しかし、今後はそれだけでは不十分となります。

例えば、

  • ICT建機を使用して施工まで実施
  • 出来形管理(完成した構造物の測量・記録)を3Dで行う

といった、より踏み込んだ活用が必要になります。

堺市の狙いは「実効性」と「技術力向上」

堺市の担当者は、「実績だけでは差が見えづらくなっている今、各社が現場に即した工夫を提案することが、建設現場の生産性向上や技術の底上げにつながる」と話しています。

ICT技術は、今や大手だけでなく中小企業にとっても重要な競争力のひとつ。今回の評価方法の見直しは、建設業界全体の技術向上に寄与する大きな一歩といえるでしょう。

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