【建設ニュース/最近の動き】国交省が営繕工事でも完全週休2日を本格導入へ|労務費や管理費の補正も明確に

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2025年度から「週休2日」が当たり前に? 国土交通省の新たな取り組み

建設業界でも「働き方改革」が進められている中、国土交通省は2025年度から直轄営繕工事において、完全週休2日制を本格導入する方針を打ち出しました。
これにより、受注者(施工業者)は、工事を始める前に「週単位の週休2日制」を選べるようになります。 また、選択した勤務形態に応じて、労務費や現場管理費の補正係数も設定されるなど、具体的な支援も用意されています。

「週休2日制」はどう変わる? 月単位・週単位・通期の違い

今回の制度改正では、休みの取り方が以下の3種類に整理されています。

  • 月単位の週休2日(例:月に8日の休み)
  • 週単位の週休2日(例:毎週土日が休み)
  • 通期(工事全体を通して平均週2日の休み)

例えば、新築工事においては「月単位の週休2日」が必須となり、それ以外に「週単位の週休2日」を受注者が選択できる仕組みになります。

一方、改修工事では、通期での週休2日が全案件で必須とされ、そのうえで月単位・週単位を選べる「選択制」が導入されます。

補正係数も明確化|週休2日で費用はどう変わる?

週休2日制に取り組んだ場合、人件費や現場管理費を正当に見直せる仕組みが導入されます。具体的には以下のような補正がされます:

  • 【月単位】:労務費 1.02倍(2024年度は1.04倍)
  • 【週単位】:労務費 1.02倍、現場管理費 1.01倍

つまり、例えば1,000万円の労務費がかかる現場では、月単位の週休2日制を導入すれば20万円が上乗せされることになります。これは、施工業者にとっても十分に検討する価値がある制度と言えるでしょう。

曜日調整も柔軟に|土日休みだけじゃない「建設のリアル」

建設現場では「土日に完全休みを取るのは難しい」という声もあります。特に、建物の中での工事や設備の改修では、稼働中の施設との兼ね合いから平日を代替休日とする必要が出てきます。

この点についても国交省は配慮しており、受注者との協議を前提に、平日を休みにする形でも「週休2日」として認める柔軟な運用方針を打ち出しています。

工期や成績評価にも反映|取り組まないと減点対象に?

さらに注目すべきは、週休2日制の取り組みが工事成績評定にも影響を与える点です。
「休日や代休の確保」が評価項目として設定されており、週単位や月単位の週休2日を導入した場合には加点対象になります。逆に、全く取り組まない姿勢が見られる場合には減点されることもあります。

書類の手間も軽減|負担が増えないよう配慮

新たな制度に不安を感じる施工業者のために、これまでの書類様式を活用して現場の閉所(休み)を確認できる仕組みが採用されます。
さらに、設備工事などを分離発注している場合も、「現場作業がない状態=現場休息」として休み扱いと認定されるため、実情に応じた運用が可能です。

今後の動きは? 2025年7月に方針が正式発表予定

国交省では、各都道府県・政令市とともに「公共建築工事における工期設定の基本的考え方」の見直し作業を進めています。
これは、週休2日制度を現場レベルでどのように運用するかという具体的なガイドラインとなる予定で、2025年7月に策定・公表される見通しです。

また、建築や設備関連の業界団体の意見も取り入れながら、より現場実態に合った制度設計が進められています。

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