【建設ニュース・東京】再開発ラッシュで「コンガラ」大渋滞?行き場を失う建設廃材と処理費高騰の実態

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東京の再開発が生み出す“見えない問題”――大量のコンクリートが行き場を失っている

東京都内では再開発が活発に進んでおり、それに伴って建物の解体工事も急増しています。すると当然、解体現場から大量の「コンクリートガラ(通称:コンガラ)」が発生します。これは、壊した建物の基礎や床、壁などのコンクリート部分を指すもので、建設現場では非常に一般的な廃材です。

このコンガラ、本来は「再生砕石」として再利用され、道路工事などに使われています。ところが今、コンガラの“需要と供給のバランス”が大きく崩れ、行き場を失っているのです。

なぜコンガラが余ってしまっているのか?背景にある2つのズレ

東京都内では再開発による解体工事が次々と始まり、大量のコンガラが発生しています。一方で、それを再利用するための道路工事の件数はあまり増えていません。つまり、「出る量は多いのに、使う場所がない」という状況です。

実際、東京都内にある合材工場(アスファルトや再生砕石を製造する施設)では、2022年頃からコンガラの受け入れがひっ迫し始めました。「この2年ほどは処理依頼を断らざるを得ないこともある」と話す工場長もおり、2024年度には処理依頼の2〜3割が断られているケースもあるとのことです。

数字で見るコンガラ問題:再生材の行き先が足りない

日本アスファルト合材協会のデータによれば、都内で製造されたコンガラ由来の再生砕石の出荷量は以下のように推移しています:

  • 2021年度:258万トン
  • 2022年度:290万トン
  • 2023年度:311万トン
  • 2024年度(速報値):292万トン

しかし、そのうち都内で使いきれなかった分は、以下の通り年々増加中です:

  • 2021年度:1万トン
  • 2022年度:8万トン
  • 2023年度:13万トン
  • 2024年度:19万トン

つまり、再利用しきれないコンガラは、関東や東北、北海道などの地方にまで運ばれて処理されています。

輸送コスト・処理費も上昇…ゼネコンや解体業者も悲鳴

こうした余剰コンガラを地方に運ぶには、高額な輸送費がかかります。さらに、燃料代や物価高騰の影響もあり、ある合材工場ではコンガラの受け入れ価格を1トンあたり60%も引き上げざるを得なかったといいます。

それでも、ゼネコンや解体業者からの依頼は後を絶ちません。工期厳守のため、処分先を確保するのに必死なためです。

工場の苦悩と行政への要望:支援制度の必要性が高まる

合材工場の多くは、元請企業との関係維持のため、赤字覚悟でコンガラを受け入れているケースもあります。日本アスファルト合材協会は、「工場が高い処理費を負担し続けていては、業界全体が疲弊してしまう」と警鐘を鳴らします。

この問題を解決するには、行政による支援も必要です。たとえば、コンガラを地方へ輸送する際の費用を一部助成する制度などがあれば、持続可能な資源循環につながります。


まとめ:コンガラ問題は「建設ラッシュの裏側」にある現実

近年の建設ラッシュの陰で、解体によって生まれる“廃材の処理”という課題が浮き彫りになっています。再利用の仕組みが整っていても、需要と供給のバランスが崩れれば、現場には混乱が生まれます。持続可能な建設業界の未来のためにも、こうした「見えにくい問題」にも光を当てていく必要があるのではないでしょうか。

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