全国建設業協会(全建)は、建設業界の生産性向上を後押しする取り組みとして、ICT機器の購入に対する補助金制度の申請受付を2025年4月17日から開始しました。
これは、国土交通省が実施する「建設市場整備推進事業費補助金」を活用したもので、全国建設業協会がその執行を担当しています。2024年度の予算はおよそ2億4,000万円。建設業者や業界団体がICT機器を導入する際にかかる費用の2分の1を補助する内容となっています。
この補助金のポイントは、業界団体や企業が生産性向上や災害対応力の強化を目的としてICT機器を導入する際に使えるという点。時間外労働の上限規制が始まり、現場の効率化が求められる中で、注目度の高い支援制度となっています。
ICT機器ってどんなもの?
補助対象となるのは、主に次のようなICT機器です:
- ウエアラブルカメラ:作業員が身につけて作業状況をリアルタイムで共有
- ドローン:空撮や点検に活用。災害時の状況把握にも便利
- 遠隔操作機器:危険エリアでの作業を安全に進められる
- 四足歩行ロボット:現場巡回や運搬作業を自動化
- レーザースキャナー(LS):現場の3Dデータを取得し、設計・施工に活用
さらに、災害時に通信インフラとしても活躍が期待される「スターリンク」(次世代衛星通信サービス)の導入も補助の対象に含まれています。
どんなケースで使えるの?
たとえば、地域の建設会社が災害時の応急対応訓練として、作業員がドローンを使って被災地を上空から調査したり、ウエアラブルカメラで現場の状況を本部に伝えるといった訓練を実施する場合、そのための機材費用が補助されます。
このような取り組みによって、現場の作業効率を高めると同時に、自然災害への備えとしての応災力(=応急対応力)の強化も期待されています。
申請の詳細と注意点
- 受付期間:2025年4月17日~5月30日まで
- 対象:全国の建設会社や建設関連団体(全建に所属していない企業・団体も申請可)
- 補助率:ICT機器の導入や訓練にかかる費用の2分の1
補助金の申請手続きや必要書類、対象となる経費などの詳細は、全国建設業協会の公式ホームページから確認できます。
全建が以前に実施したアンケート調査では、多くの建設会社が「生産性向上」を課題として挙げており、今回の補助制度はそうした現場の声に応えるものとなっています。
今後も建設業界全体でデジタル化と効率化が進むことが期待されており、今回の補助金制度はその第一歩と言えるかもしれません。