【建設ニュース・最近の話題】大林組の新社長に佐藤俊美氏が就任|社員の成長と企業の成長を重ねて

全国 建設ニュース

2024年4月1日、大手ゼネコン・大林組の代表取締役社長に佐藤俊美氏が就任しました。
新体制となった大林組では、2026年度を最終年度とする中期経営計画の目標達成に向け、建設業界の変化に柔軟かつ迅速に対応できる企業体制の強化を図っています。佐藤新社長は、「社員一人ひとりの成長と自己実現が、会社全体の成長にもつながる」と語っており、現場で働く社員を重視する姿勢が印象的です。


◆社員の成長が企業の成長に直結する時代へ

佐藤氏は就任にあたって、「大林グループの理念や精神を大切にしながら、技術やビジネスの両面でイノベーションを起こしていきたい」と意気込みを語っています。
特に、建設業界においては人材の質がプロジェクトの品質に直結するため、エンジニアや現場スタッフの能力を最大限に引き出すことが、企業の競争力強化につながるとしています。

佐藤氏は、「“つくるを拓く”というスローガンの意味を具体化し、社員と共有していくことが重要だ」と述べ、言葉だけでなく行動で示すリーダーシップを取っていく方針です。


◆建設業界の市場環境は大きく変化中

大林組では2022~2026年度の中期経営計画を推進中ですが、その計画を立てた当初と比べて、建設市場の状況は大きく変化しています。
たとえば、かつて高い需要があったデータセンターや半導体関連施設の建設需要がピークを過ぎつつあると指摘し、「今後は市場変化への対応力が企業の明暗を分ける」と佐藤氏は話します。

このため、建設事業だけでなく、非建設分野も含めた柔軟な組織体制の構築が進められています。現在は次期中期経営計画に向けた準備段階で、社内では新たな成長戦略に関する議論もスタートしています。


◆社会課題への挑戦と新たな事業展開

今後の経営方針として、佐藤新社長は「水・エネルギー・食料・廃棄物といった社会課題の解決に貢献するビジネス」に注目しています。
これまでの建設ノウハウや技術力を活かし、例えば再生可能エネルギー分野での事業展開も視野に入れています。

「再エネについては、今後の戦略を大きく見直す必要がある」と語っており、太陽光や風力発電所の建設だけでなく、ブラウンフィールド(使用済み施設の再活用地)を活用する方法など、多角的なアプローチが検討されています。

また、建設現場でのCO2排出削減に向けた新技術の開発も継続的に行う方針です。


◆国内外での事業拡大、M&Aも選択肢に

海外市場では、特に北米での展開を強化しています。
2023年には、水処理関連の建設会社を買収し、収益向上に貢献しています。今後も、未進出の地域や新しい事業分野への進出を視野に入れつつ、グループ全体としての最適な戦略を練っていくとしています。

一方、国内では建設事業にとどまらず、建設に関連するサービス領域への進出や、社会課題の解決につながるビジネス機会を模索中。必要に応じてM&A(企業合併・買収)も検討する柔軟な姿勢を見せています。


◆佐藤俊美氏のプロフィールと人柄

佐藤俊美氏は1985年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、大林組に入社。財務部長や経営企画室長を経て、執行役員・取締役として経営の中核を担ってきました。2023年には副社長に就任し、2024年に代表取締役に昇格しています。

私生活では野球観戦が趣味で、奥様と一緒にユニフォームを着て応援するほどのファン。神奈川県出身で、現在64歳。人柄としては温厚で、社員とのコミュニケーションを大切にするタイプといわれています。


建設業界にとっての注目ポイント

大林組という巨大ゼネコンのトップ交代は、建設業界全体にとっても大きなニュースです。
社員の力を信じ、社会課題の解決にも積極的に取り組む姿勢は、今後の建設業のあり方にも一石を投じる存在になるでしょう。新たなビジネスモデルや技術開発の行方にも注目です。

タイトルとURLをコピーしました