空調衛生工事の業界団体である日本空調衛生工事業協会(日空衛)は、2025年度における建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及促進策を打ち出しました。これは、4月16日に東京都内で行われた理事会で正式に決定されたものです。
CCUSとは?建設業のデジタル化を支える仕組み
CCUS(建設キャリアアップシステム)は、建設現場で働く技能者の就業履歴や資格情報をデジタルで一元管理する仕組みです。
このシステムにより、職人の経験値やスキルが「見える化」され、適正な評価や処遇に結びつくと期待されています。最近では、建設業のデジタル化の一環として注目が高まっており、「建設 最近の動き」を探るうえで欠かせないトピックの一つとなっています。
2025年度の目標は「登録現場2,000件」「就業履歴110万件」
日空衛が2025年度に掲げた大きな目標は次の2つです:
- 新規登録現場数:2,000件(前年度比で約10%増)
- 就業履歴の登録件数:110万件(前年と同水準)
これまでは、契約金額1億円以上の工事現場がCCUSの登録対象とされていましたが、2025年度からはこの基準を4,500万円以上に引き下げ、より多くの現場にCCUSを導入できるようにします。これは、元請け業者にとっても登録のハードルが下がることを意味しており、普及に大きく弾みがつきそうです。
前年度は目標未達も、協力会社の登録率は高水準
2024年度の実績を振り返ると、就業履歴の登録件数は約71万件で、目標の65%にとどまりました。しかし、日空衛が実施したアンケート調査では、CCUSの普及が着実に進んでいる様子も見えてきました。
- 協力会社186社のうち、175社が「登録済み」
- そのうち157社が「全従業員の登録を完了」
つまり、制度への参加意欲は高く、多くの企業が登録だけでなく、社員の情報管理まで積極的に取り組んでいる状況です。
実用面には課題も 「日々の履歴入力」が普及のカギ
一方で、実際の現場でのCCUS運用には課題も残されています。特に、技能者一人あたりの就業履歴をどの程度の頻度で記録しているかという点で、バラつきがあることがわかっています。
- 月平均20日以上記録している企業:57社
- 5日未満の企業:18社
- 「記録状況を把握していない」と回答:37社
このように、登録はしていても「運用面」で課題を抱えているケースも多いようです。日空衛の藤澤一郎会長は、理事会後の記者会見で「CCUS登録のメリットが現場の技能者にも実感できるような仕組みづくりが重要」と語り、今後も制度の浸透を目指していく方針を示しました。
建設業界全体の流れと日空衛の動向
近年の建設業界では、人手不足対策や技能者の待遇改善、若手の育成が重要課題となっており、CCUSはそれらを支えるインフラとして注目されています。
とくに「建設 最近の課題」として話題になることの多い「見える化」と「公平な評価」は、現場で働く人々のモチベーションアップにも直結します。
今回の方針決定は、空調衛生工事業界だけでなく、建設業全体にとっても今後の流れを左右する重要な出来事といえるでしょう。