日本コンストラクション・マネジメント協会(CM協会)は2025年4月14日、今年で13回目を迎える「CM選奨2025」の受賞プロジェクトを発表しました。この表彰制度は、建設プロジェクトにおけるコンストラクション・マネジメント(CM)手法を活用し、優れた成果をあげた事例を顕彰するものです。
今回は、全国10社から17件の応募があり、その中から13件が受賞対象として選ばれました。優秀賞5件、特別賞1件、そして生活に身近な分野で成果をあげたプロジェクトに贈られる「CM部門賞(まちなかプロジェクト賞)」には4件が選ばれました。受賞者たちの表彰式は、6月に開催される定時総会の後に行われる予定です。
コンストラクション・マネジメント(CM)とは?
CMとは、工事の計画段階から専門的な立場でマネジメントを行う手法で、品質、コスト、工期をバランスよくコントロールすることを目的としています。発注者の立場に立って最適な選択を導くこの手法は、近年では公共事業や大規模再開発など、複雑化する建設プロジェクトでますます注目されています。
CM選奨2025 受賞プロジェクト一覧(抜粋)
【優秀賞】
- 丹波山村新庁舎建設計画(山梨県丹波山村)/山下PMC
→ 地域の文化や景観に配慮した設計と、住民の声を反映した庁舎づくりが評価されました。 - ジブリパーク整備事業(愛知県長久手市)/明豊ファシリティワークス
→ 日本中から注目を集めた「ジブリパーク」。テーマパーク建設のCM手法として高い完成度が認められました。 - 五反田JPビルディングプロジェクト(東京都品川区)/日建設計CM、日本郵政建築
→ 都市型複合施設として、オフィス・商業・地域とのつながりを重視したプロジェクト。 - 米沢市立病院・三友堂病院 新病院建設(山形県米沢市)/日建設計CM
→ 医療ニーズの変化を見据えた最新設備の導入と、効率的な運営を意識した病院建設が評価。 - 長崎スタジアムシティプロジェクト(長崎市)/三菱地所設計
→ サッカースタジアムを中心にホテル・商業施設が一体化された都市開発事例。
【特別賞】
- ハイウィン神戸新工場プロジェクト(神戸市西区)/日建設計CM
→ 最先端ロボット製造工場の建設で、生産効率と環境性能を両立した点が高く評価されました。
【CM選奨(その他受賞)】
- バンヤンツリー東山・京都プロジェクト(京都市東山区)
- 鞍手町庁舎建設プロジェクト(福岡県鞍手町)
- 中野区新庁舎整備事業(東京都中野区)
- 墨田区新保健施設等複合施設整備事業(東京都墨田区)
- キオクシア横浜テクノロジーキャンパス新棟プロジェクト(横浜市)
- 横浜シンフォステージ開発プロジェクト(横浜市)
- 経営クリニック本社ビル新築工事(静岡県沼津市)
【CM部門賞(まちなかプロジェクト賞)】
- 岩砂邸CM業務(岐阜市)/犬飼一級建築士事務所
- 初台マンション賃貸事業化プロジェクト(東京都渋谷区)/川清商店
- ナツフェス小路スカイプロジェクト(兵庫県養父市)/関西大学 都市設計研究室
- 「このめ~Giving Tree AOMORI~」(青森市)/フクシアンドフクシアーキテクツ
会長コメントと今後の展望
CM協会の川原秀仁会長は「今回の応募は、社会のニーズや課題に応える“次世代のロールモデル”となるプロジェクトが多く見られた。CM手法の高度化が進み、今や“当たり前”の存在となりつつある」と語っています。
また、審査委員会は金多隆・京都大学教授を委員長に迎え、専門家による丁寧なヒアリングと検証を経て各プロジェクトの選定を行いました。
建設業界の未来を担うCM手法
近年の建設業界では、単に「建てる」だけでなく、プロジェクト全体の最適化が求められる時代になっています。今回受賞したプロジェクトは、その先進的な取り組みの一例であり、今後の建設業界にとって重要な指針になると考えられます。
建設とCM(コンストラクション・マネジメント)に関する最新ニュースや注目事例を今後も発信していきます。
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