【建設ニュース】飛島建設の新社長に築地功氏が就任|イノベーションで業界をリードする体制づくりへ

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2024年10月に新体制となった飛島ホールディングス(HD)の中核事業会社である飛島建設にて、2025年4月1日付で新たに社長に就任したのが築地功(つきじ・いさお)氏です。
ダムやトンネルといった大型インフラ工事に長年携わり、技術開発部門でも約20年の経験を積んできた人物で、社内外で高く評価される技術畑のリーダーです。

歴史ある企業の改革へ「技術の力で変革を」

築地氏は、創業142年を迎える飛島建設の長い歴史を尊重しつつも、「固定観念にとらわれず、新しい技術や発想を積極的に取り入れる」ことを経営の基本方針としています。
前職では技術研究所の所長として、社会課題の解決や顧客ニーズに応える新しい技術の研究・開発を主導。例えば、災害対応の自動化施工やCO2削減に資する建設資材の開発など、実際に現場で活用される技術を次々に生み出してきました。

今後は、そうした「技術力×経営力」の融合によって、建設業界が抱える課題──人材不足やカーボンニュートラル対応、既存インフラの老朽化など──への対応を進めていく方針です。

経営の方向性|建設分野の枠を超えた新展開も視野に

築地氏は、飛島HDグループのなかで「安定した収益を確保しながら、建設以外の成長事業(グロース事業)にも力を入れる」ことを経営方針に掲げています。

特に注目されているのが、「イノベーション事業」。これは、デジタル技術を活用し、建設の生産工程そのものを効率化・自動化していく取り組みです。たとえば、FSC(フィールドサクセスセンター)という現場支援体制を強化し、施工管理のノンコア業務を集約化。これにより、現場の職員が本来の“コア業務”に集中できるような仕組みが全国で展開されています。

今後の注力分野|防災・再生可能エネルギーにも対応

これから注力していく分野としては以下のような取り組みが挙げられています。

  • 防災・国土強靱化事業:ダムの再開発や老朽化インフラの補修など、防災面での高度技術が必要とされる案件に引き続き取り組む
  • 木造建築技術の推進:中層オフィスビルなどにおける木造建築の可能性を探る
  • 再生可能エネルギー分野:小水力発電などの分野に進出し、設計から施工・マネジメントまでを一貫対応

また、CO2削減やカーボンニュートラルといった社会的ニーズにも応える体制づくりを進めており、建設業界に求められる「環境対応力」の面でもリーダーシップを発揮する方針です。

人材育成・組織改革|未来を支える仕組みづくり

人材不足が深刻な建設業界において、築地氏が重視しているのは「早期育成」と「技術継承」です。若手社員には複数現場でさまざまな工種を経験させるなど、幅広いスキルの習得を促進。一方で、熟練技術者が蓄積してきたノウハウはデジタル化し、社内での共有を進めています。

また、働きやすい職場環境づくりにも注力。社員同士が意見を言いやすく、助け合える「エンゲージメントの高い職場文化」を目指しています。女性や外国人を含む多様な人材が活躍できるよう、ダイバーシティ推進にも取り組む考えです。


築地社長の信条は「誠心誠意」。京都大学土木工学科出身で、大学時代は硬式野球部のキャッチャーとしてチームを支えた経験を持ちます。現場と技術、そして組織マネジメントに精通する築地氏のもと、飛島建設が今後どのような進化を遂げていくのか、今後の動きに注目が集まります。

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