【建設ニュース】竹中工務店、4つの新規事業に注力|現場のIoT化や歴史的建物の再生にも取り組む

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大手ゼネコンの竹中工務店が、今後の成長を見据えて新たに力を入れる4つの事業領域を発表しました。
その内容は、建設業に関わる方々にとっても注目すべきトピックが満載です。

同社は「建物周辺・デジタル」「伝統文化・レガシー活用」「環境関連」「新領域」の4分野に注力し、本業である建設事業との相乗効果(シナジー)を高めながら、新しい価値の創造を目指しています。


建設現場のDX化|IoTソリューションで作業効率アップ

「建物周辺・デジタル」の分野では、建設現場の業務をより効率的に行うためのIoTソリューションを展開中です。

たとえば、建設中の建物の部屋ごとの進捗状況を“見える化”できるアプリ「位置プラス」を開発。このアプリを使えば、どの部屋のどの作業がどこまで進んでいるかをスマートフォンやタブレットで一目で確認できます。

このシステムは、竹中工務店のグループ会社「朝日興産」を通じて、すでに55社(2024年1月時点)の建設会社に提供されています。今後も、より使いやすくするための機能追加や他社展開の拡大を目指しています。

また、電気や通信インフラが整っていない場所でも利用可能な「オフグリッド型モバイルハウス」も活用中です。
これはトレーラー型の移動式事務所で、ソーラーパネルや蓄電池、衛星通信を搭載しており、災害時や山間部の工事などでも活躍が期待されています。


歴史的建物の再生で地域に新しい価値を

「伝統文化・レガシー活用」の分野では、歴史ある建物を現代に活かすプロジェクトを進めています。

例えば、横浜市にある「旧第一銀行横浜支店」という歴史的建物を複合施設として再生するプロジェクトが始まっています。
竹中工務店は、CRAFTING JAPAN(長江一彌社長)、グッドルーム(小倉弘之社長)とともに、横浜市と10年間の建物賃貸借契約を締結。2025年4月から改修工事に入り、同年9月ごろの開業を予定しています。

このような取り組みにより、建物をただ残すだけでなく、地域の観光資源や文化拠点として活用し、持続可能なまちづくりにも貢献しています。


環境と共に歩む建設|再生可能エネルギーの導入

環境関連の分野では、木質バイオマス発電や地熱発電など、地域の資源を活用した再生可能エネルギー事業を強化しています。

これらの技術は「地産地消」のエネルギーモデルとして注目されており、建設業界でもCO2削減や脱炭素社会への貢献が期待されています。


新たな挑戦|PPPなど“請け負わない”建設の形

「新領域」では、従来の“請け負う建設”とは異なる、パートナーシップ型の事業モデルにもチャレンジしています。
代表的なのがPPP(官民連携)事業で、公共と民間が協力してインフラ整備などを進める形態です。

こうした取り組みにより、建設会社としての役割の幅を広げ、社会に対する価値提供のあり方を再定義しようとしています。


まとめ|建設業の未来を見据えた竹中工務店の挑戦

建設業界では、2024年問題(働き方改革による時間外労働の制限)への対応や、慢性的な人手不足、脱炭素社会への移行など、さまざまな課題があります。
竹中工務店のような大手企業が新規事業に積極的に取り組むことで、業界全体の活性化や未来の建設のあり方に変化が生まれようとしています。

今後も同社の取り組みに注目が集まりそうです。

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