【建設ニュース】新たな御坂トンネルの整備が本格始動へ|2025年度は地質調査や予備設計などを実施予定

全国 建設ニュース

山梨県は、国道137号に計画している「新たな御坂トンネル」について、2025年度に地質調査やトンネル前後の「明かり区間」の予備設計を進める方針を明らかにしました。また、地域住民への説明会なども開催し、計画内容の周知と理解促進を図るとしています。

なぜ「新たなトンネル」が必要なのか?

今回整備が予定されているのは、現在の御坂トンネルから約100メートル下に位置する新ルートです。現トンネルは完成から50年以上が経過しており、老朽化が進行。加えて、トンネルの前後には急カーブが多く、大型トラックが通行しにくい構造となっています。こうした現状を改善し、安全でスムーズな交通を実現することが主な目的です。

トラックなどの物流車両の大型化が進む中で、安定的な通行を確保することは経済面でも重要です。また、冬季には積雪や凍結のリスクもあり、新しいトンネルの整備により、こうした気象条件による通行の不安も軽減されると期待されています。

ルートと構造の概要

新しい御坂トンネルは、富士河口湖町河口から笛吹市御坂町藤野木を結ぶ全長約5.5kmの区間に計画されています。そのうちトンネル部分は約4.6kmに及び、現在のトンネル(2,778m)よりも長くなります。トンネル内の勾配は1%程度と緩やかに設計されており、安全性にも配慮されています。

ルートとしては、既に整備済みの「山宮トンネル」(富士河口湖町側)から、笛吹市側の「カムイ御坂スキー場入り口付近」までを、できる限り直線的につなぐ形になります。これにより、現在約10分かかっている通過時間が、完成後にはおよそ5分に短縮される見通しです。

2025年度の具体的な取り組み

山梨県は、2025年度中に以下のような取り組みを実施予定です。

  • 地質調査:断層や水脈など、掘削に影響を与える地下構造の把握
  • 明かり区間の予備設計:トンネルの前後の区間の仮設計を行う
  • 住民説明会:地域住民へ計画内容の説明と意見交換を実施

これらの情報を踏まえたうえで、着工の時期や事業全体のスケジュールは、用地買収などの進捗を見ながら改めて提示される予定です。

技術的な課題と検討の進捗

「新たな御坂トンネル整備検討会議」では、東京都立大学の砂金伸治教授を座長に、これまで5回にわたって技術的課題の検討が進められてきました。

検討されている主な課題は以下の通りです。

  • 地下の断層破砕帯の処理方法
  • 大量湧水への対応
  • 高圧地層への安全な掘削
  • 土被り(地表からトンネルまでの深さ)が大きい区間への対策

これらの課題について、専門家の意見を交えながら、設計段階での注意点が整理されています。

山梨県知事も整備の意義を強調

ルート案を発表した際、長崎幸太郎知事は次のように述べています。

「新しいトンネルが完成すれば、積雪や凍結による交通への不安が軽減される。国際化する物流や、富士山噴火といった災害発生時にも対応できる“強靱な道路”として期待している」

このように、新たな御坂トンネルの整備は、交通インフラの安全性・効率性の向上だけでなく、地域防災の観点からも重要な意味を持っています。


【まとめ】新たな御坂トンネルで目指す“安全・スピーディーな未来の道”

山梨県が取り組む「新たな御坂トンネル」の整備は、単なる道路工事ではありません。物流の効率化、地域住民の安心、安全な避難路の確保など、多方面にメリットが見込まれるインフラ整備です。2025年度は、事業化に向けた重要なステップとなる年となりそうです。

タイトルとURLをコピーしました